
JRA今年の「幻の秋華賞馬」はレイパパレ以上の逸材!? チャレンジC(G3)ジェラルディーナが前走で魅せた圧倒的スケール感
4日、阪神競馬場で開催されるチャレンジC(G3)。5日の日曜中京にチャンピオンズC(G1)が控えていることもあり、多くのファンの興味は今回初ダートとなるソダシの走りかもしれないが、絶対にチェックしておきたい馬が出走を予定している。
それは前走の西宮S(3勝クラス)を快勝したジェラルディーナ(牝3、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。7月のマカオジョッキークラブT(1勝クラス)、8月の筑後川特別(2勝クラス)と連勝してトントン拍子の重賞挑戦となったが、ここまでの道のりは決して順調とはいえなかった。
昨年9月の中京にデビュー戦を迎えるも3着。3戦目にようやく未勝利を脱出したものの、勇躍挑んだ阪神JF(G1)では、ソダシに力の差を思い知らされる敗戦を喫した。白毛のアイドルが無傷で桜の女王に輝いたとき、ジェラルディーナは相変わらず未勝利戦の1勝のみと、両者の立場には天地の差があった。2月のエルフィンS(L)で2番人気に支持されながら10着と振るわず、陣営は休養を決断する。
しかし、6月阪神の城崎特別(1勝クラス)を勝ち馬から3.5秒も離される大敗をしてから別馬のように変貌を遂げた。この惨敗は、競走中に右手綱の尾錠が外れるという致命的なアクシデントによるもの。次走からの3連勝を考えると、休養期間中にジェラルディーナの「覚醒」は始まっていたのかもしれない。
これだけならただ連勝中の上がり馬という評価の域を出ないのだが、評価すべきは西宮Sの中身の方だ。同レースが行われたのは、アカイトリノムスメが優勝した秋華賞(G1)の開催日。芝2000mで勝ちタイムは2分01秒2(良)。1800mの通過ラップ1分48秒3は西宮S(芝1800m)の勝ち時計1分46秒1と2秒2の差がある。
そこで思い出したいのは、昨年デアリングタクトが秋華賞を優勝したにもかかわらず、なぜレイパパレが「幻の秋華賞馬」といわれることになったのかだ。しかも相手はただの秋華賞馬ではなく、無敗の牝馬三冠馬。いくらなんでも比べるには無理があるといっていいほどの相手だろう。
ただ、その根拠として引き合いに出されたのが、ひとつ前の10R大原S(3勝クラス)だった。レイパパレが制した芝1800m戦(稍重)の勝ちタイムが1分46秒3に対し、秋華賞(稍重)の勝ちタイムは2分0秒6で、1800mの通過ラップは1分48秒5というものである。
奇しくも1800mにおける両レースの2秒2差は合致している。しかも大原Sはハンデ戦でレイパパレの斤量が52キロだったのに対し、定量戦だった西宮Sのジェラルディーナはそれより1キロ重い53キロなのだ。そう考えるとジェラルディーナの方が上という見方も可能となる。
「2000mの勝ちタイムとの比較でも大きく上回っているんですこれ。昨年は14秒3で今年は15秒1です。秋華賞より上ではないかといわれた理由が残り1ハロンをこのタイムより速く走れば、時計だけの単純比較なら勝ち馬より前にいるという意味でした。
となると、額面上でもジェラルディーナはレイパパレより上という評価にも繋がります。そのレイパパレがチャレンジCで重賞初勝利を決め、大阪杯(G1)まで制したなら、ジェラルディーナにも同様の期待をしてもいいでしょう」(競馬記者)
デビュー当初の不甲斐なさを思えば、まるで別馬のようなパフォーマンスを披露したジェラルディーナだが、そもそも血統的にはG1レースを6勝したモーリスと7勝したジェンティルドンナを父母に持つ超良血馬。父の現役時代もクラシックに間に合わず、古馬になって本格化したことを思えば、合わせて13冠となる両親の血が、この大変身の裏付けとなっているのだろうか。
もしチャレンジCをあっさり勝つようだと、来年のG1戦線でも台風の目となるはずだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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