
JRA【ホープフルS(G1)展望】武豊「G1完全制覇」リーチも強力ライバルに苦戦必至!?オニャンコポンも侮れない存在

26日の有馬記念(G1)が終わっても、28日には中山競馬場でホープフルS(G1)の開催がまだ控えている。来春の牡馬クラシックに直結するこのレースで、今年はどの馬が勝ち名乗りを上げるだろうか。
主役を張るのはデビューから2連勝中のコマンドライン(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)で間違いないだろう。
サンデーレーシングから総額1億4000万円で募集されたディープインパクト産駒の期待馬で、6月の新馬戦を1.1倍の圧倒的人気に応えて快勝。2戦目のサウジアラビアRC(G3)は、着差こそ半馬身だったが、2番手から抜け出す横綱相撲で連勝を飾った。
ただし、このレースの2着馬ステルナティーアが、その後の阪神JF(G1)で7着に敗れていてレースレベルには疑問符も。その素質の高さは誰もが認めるところだが、東京1600mしか経験がないことも不安要素といえる。初めての中山、さらに距離が一気に400m延びる点もカギとなりそうだ。
鞍上は引き続きC.ルメール騎手が務める。前走後は「これでクラシックを考えられますし、まだまだ伸びしろがあります。来年大人になったら、トップレベルに行ける馬だと思います」と高く評価している。皐月賞(G1)と同じ舞台でどんな競馬を見せてくれるだろうか。
同じくディープインパクト産駒のキラーアビリティ(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)も将来に期待がかかる大物候補の1頭だ。
こちらはキャロットクラブから総額1億円で募集された高額馬。6月の新馬戦は5着と期待を裏切ったが、2か月後に直線が短い小倉で4角7番手から、強烈な末脚を繰り出し、2着に7馬身差をつけて初勝利を挙げた。
続く10月の萩S(L)は、1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたが、ゴール直前でダノンスコーピオンに差されての2着。そのダノンスコーピオンは先週の朝日杯FS(G1)で3着に好走しており、間接的にこの馬の強さも証明した。
鞍上には今年大ブレークした横山武史騎手。テン乗りで挑むが、2週連続で調教にも騎乗して、感触を確認した。『スポニチ』の取材に「能力はいいモノを持っているので、折り合いが鍵」と答えているように、強さと危うさが同居している。鞍上の手綱さばきにも注目したい。
コマンドライン、キラーアビリティとともに上位人気の一角を形成するとみられるのはオニャンコポン(牡2歳、美浦・小島茂之厩舎)だ。
デビューからの2戦は6番人気と4番人気で勝利している。そのユニークな馬名も相まって話題性が先行しているように思われがちだが、実力は確かだ。
今回と同じ舞台で行われた9月の新馬戦では、単勝オッズ32.0倍という伏兵的存在だったが、終わってみれば1.3/4馬身差の快勝。続く百日草特別(1勝クラス)は、レッドラディエンス、ホウオウプレミアなど骨っぽい相手に直線迫られたが、勝負強さを発揮した。2戦ともに2番手追走からの横綱相撲で、その先行力はいかにも中山向きといえるだろう。
血統的にはコマンドラインやキラーアビリティに比べるとやや地味な印象だ。父はいまだ重賞勝ち馬が出ていないエイシンフラッシュ。19年の当歳セレクトセールでも864万円という安値で取引された。
鞍上は3年目の菅原明良騎手が務める。2月の東京新聞杯(G3)をカラテで勝利し、今年の勝利数はキャリアハイと絶好調。肝の据わった騎乗にも定評がある若手騎手の一人で、2度目のG1挑戦でタイトル獲得を狙う。
先日の朝日杯FSを勝利し、JRA・G1完全制覇にリーチをかけた武豊騎手は、アスクワイルドモア(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)で、偉業達成に挑む。
夏の北海道では4戦すべてで武騎手が騎乗し、3戦目で勝ち上がった。9月の札幌2歳S(G3)では4番人気ながら、ジオグリフの2着に食い込み賞金加算に成功。約4か月ぶりの実戦で、成長の証しを見せつけたい。
1週前追い切りに騎乗した武騎手は「夏以来で乗って、ずいぶん良くなった。前は攻め馬で動かずモタモタしていたけど、行きっぷりも反応も良かった。ガラッと変わった」と『日刊スポーツ』の取材にその充実ぶりを語っている。今年の千葉サラブレッドセールでは、ドーブネ(5億1711万円)に次ぐ2位の6941万円の値をつけたアスクワイルドモアが武騎手の夢を叶えるか。
C.デムーロ騎手が手綱を取るジャスティンパレス(牡2歳、栗東・杉山晴紀厩舎)も侮れない。
こちらは20年セレクトセールでは、2億900万円という高値で取引されたディープインパクト産駒。9月の中京で行われた2歳新馬、11月阪神の黄菊賞(1勝クラス)を、どちらも単勝1倍台の人気に応えて快勝した。
変則開催で、レースは火曜日に行われるが、最終追い切りが行われたのは前週の水曜日だった。年末ならではのイレギュラーな調整過程がどう作用するか。
この他には、友道康夫厩舎が送り込む2頭にも注目。フィデル(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)は、20年セレクトセールにて2億900万円で競り落とされたハーツクライ産駒。鞍上は香港帰りの川田将雅騎手が務める。昨年のダノンザキッドに続き連覇を狙う。
サトノヘリオス(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)は、20年セレクトセールで7700万円の値をつけたエピファネイア産駒。新馬戦こそ4着に敗れたが、その後は未勝利戦、エリカ賞(1勝クラス)を連勝中だ。走るエピファネイア産駒に共通するサンデーサイレンス「4×3」ではなく、「4×2」という強烈なインブリードが、大舞台で花開くか。
武騎手のG1完全制覇に注目が集まる今年のホープフルS。アスクワイルドモアがクラシックに名乗りを上げるのか、それとも無敗の良血馬が連勝を伸ばすのか。発走は28日15時25分を予定している。
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