
東京大賞典(G1)年末「一発逆転」の助け舟は地方馬!? 3連覇中オメガパフュームと「互角」の力量の持ち主とは
中央競馬のG1である有馬記念やホープフルSの終了した29日、大井競馬場で行われる東京大賞典(G1)。地方競馬ファンにとっては、このレースが、事実上「日本競馬の1年の総決算」ということもあり、毎年スポーツ新聞各紙が一面で取り扱うことも多い。
主役はもちろん前人未踏の4連覇を目指す中央所属馬のオメガパフュームだが、有馬記念が堅かっただけに「地方版の有馬記念」は波乱決着を願う穴党も多いだろう。
そんな一発逆転を期待するファンに推奨したいのが、地方馬タービランス(牡8歳、浦和・水野貴史厩舎)だ。
27日現在、『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは、80倍前後の9番人気という伏兵に過ぎないが、地方馬だからといって侮ってはいけない存在である。
戦績は35戦15勝で、勝率は4割オーバー。2着11回、3着3回、着外6回の堅実派のため、敗れたレースでも馬券圏内に食い込むことが多い。その上、人気もないのだから狙って損はないはずだ。
JRA勢との対戦経験も豊富で、前走の浦和記念(G2)では地元馬の意地を見せて2着を確保。上がり3ハロンの脚は、今回対戦するウェスタールンドと同じ1位タイの切れを披露している。
また、今年1月に行われた川崎記念(G1)は4着だったが、2着オメガパフュームに0秒2差と差の無い走り。強力JRA勢とも、G1で互角に渡り合える実力を証明している。
安定感抜群の本馬だが、東京大賞典の出走は実に4年ぶり。最後に大敗したのが17年の東京大賞典(9着)だった影響か、近年は回避を続けている。代わりに年明けの川崎競馬場で行われる報知オールスターC(S3)に出走してきた。
同レースとの相性は抜群で、19年から21年と3年連続出走して全て連対。昨年は17年川崎記念優勝のオールブラッシュに惜敗したが、今年は次走の金盃(S2)で9馬身差の圧勝をしたマンガンや、16年チャンピオンズC(G1)優勝のサウンドトゥルーらを完封して、初優勝を成し遂げた。
8歳馬でもまだまだ元気一杯のため、来年も報知オールスターCに出走すれば、もちろん最有力候補の1頭になるだろう。同レースの1着賞金は2000万円と地方にしては高額で、東京大賞典3着の賞金よりも高い。
相手関係やレース相性を踏まえると、東京大賞典で3着に入るより、報知オールスターCに出走した方が好成績をおさめ、かつ大きい賞金を獲得する確率が高い。
それでも強敵相手にあえて挑戦するのは、東京大賞典でも好勝負可能という自信の表れではないだろうか。コースは違えど、年初に最有力候補のオメガパフュームと遜色のない走りをしているだけに、陣営が色気を持つのも当然といえる。
懸念材料は本馬が着外に敗れたレース全てが、右回りであることが挙げられるが、4年前の話。年々成長して安定感を増しているため、充実している現在ならば右回りも克服可能だろう。
東京大賞典で地方勢の勝利は05年のアジュディミツオー以来、15年も遠ざかっている。デビューから地方一筋のタービランスが、地方勢連敗を止めてくれることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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