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2017.03.03 09:11
セン馬の「競走寿命が長くなる」という話は本当か?明け5歳で早くも”引退勧告”を受けたノンコノユメが切ない
文=浅井宗次郎
あくまで統計的な話だが、例えば飼い猫や犬の場合、去勢手術をすれば人間換算で10年ほどの寿命が伸びるらしい。だが、それは前立腺の病気やヘルニアの予防など、肉体的な衰えの防止というよりは、命に係わる病気など危機的状況の回避の意味合いが大きいようだ。
また去勢手術の効果を医学的な見地からみれば、女性ホルモンの活性化が大きな特徴といえる。
人間であれば、清時代の中国では国王などに使える官吏が去勢する「宦官」という制度があった。浅田次郎の時代小説『蒼穹の昴』などが有名だが、彼らは一様に女性のような甲高い声を発したという。これも去勢による女性ホルモンの発達が影響しているようだ。
では競走馬の場合、女性ホルモンが活性化することでどういった作用があるのかと述べると、まず靭帯が柔らかくなるようだ。JRA競走馬総合研究所の高橋敏之主任によれば、女性ホルモンには靭帯や腱を緩める働きがあるらしい。
実際に競走馬にとって「不治の病」といわれる屈腱炎は、牝馬よりも牡馬の方が1.5倍も発症率が高いという。したがって去勢手術を行い、女性ホルモンが活性化し「牝馬に近づく」ことで筋肉が柔らかくなり、故障のリスクが減少する。それがセン馬の統計的な競走寿命の増加の一因となっている可能性は高い。
だが、その一方でケルソというアメリカの歴史的な名馬を御存じだろうか。
ケルソは3歳から7歳まで、西暦1960年から1964年まで5年連続で年度代表馬に選出されたアメリカ競馬でも屈指の最強馬である。63戦39勝、51度の連対を誇るこの”モンスター”は、やはりセン馬だった。
つまり、ただセン馬が「故障するリスクが少ない」というだけでは、ケルソは到底説明できない存在である。
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