
JRA武豊ドウデュースに「厄介」なライバル登場、皐月賞(G1)と同じ舞台で中山巧者が反撃の狼煙
2022年の中央競馬開幕を告げた年始の開催。東西金杯が行われた5日は、約1週間ぶりの競馬を待ちわびたファンにとっても、楽しみにしていた日だっただろう。
そんな中、今年のクラシックでも楽しみな1頭が、中山5R(3歳・1勝クラス)で勝利を挙げたアスクビクターモア(牡3、美浦・田村康仁厩舎)である。
9頭立てと少頭数だったレースで、単勝オッズ1.9倍の断然人気に支持されたアスクビクターモア。手薄なメンバー構成だったとはいえ、これまで戦ってきた相手関係を考えると当然だったかもしれない。
逃げたマイネルアルザスの刻んだラップは、1000m通過が62秒8と超スロー。外目の4番手から追走したアスクビクターモアは、押さえ切れない手応えで追走する。手応えが良過ぎたせいか、3~4コーナーでは2番手まで進出。鞍上の田辺裕信騎手が、徐々に促しながら先頭を窺った。
最後の直線に入り、M.デムーロ騎手のレヴァンジルが抜け出しを図ったものの、外から追い上げるアスクビクターモアとの手応えの差は歴然。ムチを入れて懸命に追われているライバルを尻目に、ノーステッキで交わしてゴールした。
着差こそわずかクビでも、何度やり直したところで2頭の力差は埋まらなかったと感じられる強さだった。

「本来なら折り合ったまま行きたかったのですが、ペースが遅く、勝つことを考えると動かざるを得ませんでした。最後の着差はわずかでしたが、ステッキを使わずにしのげる余裕がありました。これから楽しみな馬です」
レース後に田辺騎手が残したコメントからも、アスクビクターモアに対する期待の大きさが伝わってくる。
それもそのはず。これで4戦2勝とした同馬だが、3着に敗れた6月東京のデビュー戦でワンツーフィニッシュした相手は、ジオグリフとアサヒという骨っぽい相手。前者は札幌2歳S(G3)を楽勝し、朝日杯FS(G1)で2番人気に支持された実力馬であり、後者は世代最強の呼び声高いイクイノックス相手に東京スポーツ杯2歳S(G2)で2着に入った馬でもあった。
そこへきて0秒1差の3着に敗れた前走のアイビーS(L)の勝ち馬は、武豊騎手に念願の朝日杯FS勝利をプレゼントしたドウデュースだったのだから価値がある。
「絶対に負けられないレースでした。これで、大きなところを狙う権利を得た」と、田村康師がホッと胸を撫で下ろしたのも分かる話だ。
小回りでトリッキーといわれる中山コースも、未勝利戦に続いて2戦2勝と相性の良さを証明済み。そして今回制したレースは、皐月賞(G1)が行われる中山芝2000mと同じ舞台。本番の予行演習としても、ここで結果を残せたことは大きな収穫となりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
23:30更新アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
東京競馬場に約20万人が殺到!? 朝6時からの大行列、怒号飛び交う陣取り合戦、そして…競馬が最も熱い時代、歴代最多入場者を記録した当時の記憶
JRA歴代1位「19万人」の歓声響いたアイネスフウジン! 今年は7万人が入場可能の日本ダービー(G1)、ウマ娘実装であの感動をもう一度
- JRA川田将雅「北村友一斜行」に激怒か。「不利を受けたなんて言うのは10年早い」数々の伝説と「これでも丸くなった」説
- JRA北村友一、横山一家と「全面戦争」勃発か…浦島状態がもたらした「立ち位置」の変化と大き過ぎた代償
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- JRA武豊「繰り返された愚行」に安藤勝己氏も困惑……故・近藤利一さんを怒らせた敗戦から15年、またも追いかけたディープインパクトの幻想
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛