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JRA「第2のグランアレグリア」は何故敗れたのか。シンザン記念(G3)単勝1.8倍の大本命に降りかかった受難と、独り歩きした幻想

JRA「第2のグランアレグリア」は何故敗れたのか。シンザン記念(G3)単勝1.8倍の大本命に降りかかった受難と、独り歩きした幻想の画像1
C.ルメール騎手

 9日、中京競馬場で行われたシンザン記念(G3)は、4番人気のマテンロウオリオン(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)が勝利。前走、未勝利の身で1勝クラスを勝ち上がった素質馬が、連勝で重賞初制覇を決めた。

 その一方で、単勝1.8倍という圧倒的支持を集めながらも不完全燃焼の7着に終わってしまったのが、牝馬のラスール(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

「新しいグランアレグリアです――」

 そんなC.ルメール騎手の期待が、寒空に吸い込まれていくような寂しい結果だった。15頭立てで行われた芝1600mのレース。ルメール騎手の「スタートが良くなった」という言葉通り、煽り気味にゲートを飛び出したラスールは後方からの競馬。鞍上の判断ですぐにポジションを上げに行ったが「道中は引っかかった」と、これも裏目に出てしまったようだ。

 さらに末脚爆発が期待された最後の直線では、前が塞がって行き場を失うアクシデント……。レース後、ルメール騎手も「最後は疲れました」とコメントするのがやっとという、ショッキングな敗戦だった。

「うーん、厳しい結果になってしまいました。レースを観た元JRA騎手の安藤勝己さんが『悪いところが全部出た』(公式Twitterより)とツイートされていましたが、まさにその通りでキャリア2戦目の脆さが出てしまった印象です。

最後の直線ではセルバーグに前を塞がれる不利もありましたが、正直、勝ち負けにはあまり関係がなかったと思います。それくらい、今回は不完全燃焼だと思いますし、あれが本当の実力ではないハズなんですが……」(競馬記者)

 昨年10月のデビュー戦。好位から難なく抜け出したラスールの走りに、ルメール騎手も開口一番「新しいグランアレグリアです」と最上級のコメント。

 G1を6勝したマイル女王の名をあえて挙げたのは、単に素質溢れる牝馬がマイル戦を勝ったというだけでなく、グランアレグリアが翌月のマイルCS(G1)でラストランを迎えること、そして管理する盟友・藤沢和雄調教師の2月の引退が決まっていることへの思いが、思わず口から溢れたのかもしれない。

「ルメール騎手の発言と共に、勝ち時計の1分35秒3が、前日に行われたサウジアラビアRC(G3)の1分36秒4を大きく上回っていたことが話題になったのがラスールです。

ですが、そのサウジアラビアRCで2着だったステルナティーアが12月の阪神ジュベナイルF(G1)で7着に敗れた上、勝ったコマンドラインが昨年末のホープフルS(G1)で12着に大敗……。

ましてや、この日のシンザン記念を過去10年3か月以上の休み明けで勝ったのはアーモンドアイだけと、ラスールには厳しい条件が揃ってしました。藤沢和調教師が2月に引退されるため、クラシックは別の厩舎で迎えることになるラスールですが、なんとか今回の敗戦を糧にしてほしいですね」(別の記者)

 今回は「第2のグランアレグリア」という言葉が独り歩きしてしまった印象だが、“本家”も若駒の頃は朝日杯フューチュリティS(G1)、NHKマイルC(G1)で単勝1.5倍の支持を裏切るなど、順風満帆で歩んできたわけではない。

 かつてグランアレグリアがルメール騎手と共にG1初制覇を飾った本番の桜花賞まで、あと約3か月。「第2のグランアレグリア」への道は、決して閉ざされたわけではないはずだ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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