地方競馬の祭典「JBC競走」2018年は中央競馬で開催決定!売上見込み「約3倍増」もモデルケースから見た「目的消滅」の危険性とは
この場合、モデルケースとなるのが2011年の南部杯(G1)だ。毎年、岩手の盛岡競馬場で開催されている交流競走だが、この年は東日本大震災の影響で、盛岡競馬場と姉妹提携を結んでいるJRAの東京競馬場で代行された。
ちなみにこの時は10月10日の体育の日に開催されたが、月曜日であったものの祝日を利用した3日間開催となった。入場者数は約6万人、売り上げは70億円以上を記録し、前年の南部杯の約14倍となっている。なお、レースのファンファーレには従来の盛岡競馬場で使用されていたものを採用している。
これだけを見ると、今回の決定には商業的に大きなメリットがあることは確実だろう。だが、その一方で「出走馬の割合」には大きな課題が見えた。
「この年の南部杯に出走した地方馬はわずか4頭でした。それに対して中央馬は11頭。1着から11着までを独占しています。上位をJRA勢が占めるのはある程度仕方ないですが、ここまで極端だと地方勢にまったく旨味がありません。
例年のJBC競走は中央馬の枠は6頭ですが、来年の京都開催では中央馬の出走枠を例年に近い形に保ちながらも、良質な地方馬を招待して出走頭数を確保できるかが大きな課題となるでしょう。
あまりJRA勢が多くなると、売上自体は上がるかもしれませんが、『交流競走の意義』や『JBCの知名度アップ』といった従来の目的が損なわれる可能性も否めません」(同)
売上に関しては土日開催となるかどうかも重要で、仮にそうなれば昨年開催されたJRA・G1すべてが売上100億円を上回っている事実からも、3競走で売上100億円を大きく上回る可能性はかなり高い。昨年のJBC開催(川崎)1日の総売り上げが約48億円なので「3倍増」くらいまでは見込めることが濃厚だ。
いずれにせよ、これまで「地方競馬の祭典」というイメージだったJBC競走が大きな一歩を踏み出した。すでに毎年のように売り上げ記録を伸ばし続けている地方競馬最大のイベントが、今後どのような上昇カーブを描くのか。JRA、NAR、全国公営競馬主催者協議会の3者の密な連携が重要なカギとなりそうだ。
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