JRA「勝負駆け」の匂いがプンプン!? 共同通信杯(G3)ダノンスコーピオン、ジオグリフ二強決着に風穴開ける「特注馬」は見逃し厳禁
13日、東京競馬場で行われる3歳の中距離重賞・共同通信杯(G3)は、今年のクラシックを占う重要なレースだ。昨年はこのレースを制したエフフォーリアが、皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念といったG1を勝利。現役最強馬の称号を手に入れた。
過去10年、このレースを経由して皐月賞(G1)を制した馬は最多の5頭。もはや、本来皐月賞トライアルの弥生賞(G2)やスプリングS(G2)以上に、本番への重要なステップとなりつつある。
そんな共同通信杯だが、今年の下馬評はダノンスコーピオン、ジオグリフの「二強決着」が濃厚と見られている。『netkeiba.com』の単勝予想オッズでも、9日現在で前者が1倍台の1番人気、後者が2倍台の2番人気。3番人気想定のアサヒが少し離れた4倍台で、それ以降は大きく離された。
昨年暮れの朝日杯FS(G1)でダノンスコーピオンは4番人気3着、ジオグリフは2番人気5着。G1で上位に入った両馬の実績は、ここでは一枚上。2頭に人気が集中するのも無理はない。
とはいえ、このまま2頭のワンツーとなるのかとなると、些か不安材料もある。そもそも過去10年の共同通信杯で、1番人気馬が優勝したのはイスラボニータのみで、2番人気馬もわずか2勝に留まっているのだ。
そして、前走朝日杯FS組にしても【0.3.0.3/6】なのだから、データ的な観点でも好材料とはならないだろう。仮に芝1800mの距離経験があったとしても気になるところだ。
人気と臨戦過程で二強を割り引いた際、魅力的に映るのは昨年の東京スポーツ杯2歳S(G2)でイクイノックスの2着に入ったアサヒだが、同馬はここまで【1.3.0.0】の成績が示す通り、勝ち身に遅いタイプ。1着を期待するには少々物足りなさがある。
そこで思い切って狙ってみたいのは、4番人気想定のダノンベルーガ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)だ。
ダノックスの主戦を任されている川田将雅騎手が、スコーピオンに騎乗するため、勝ち負けを期待されているなら、あえての2頭出しはどうかと感じるものの、管理しているのが堀厩舎なら話は別だ。
最近になって、厩舎の看板馬であるヒシイグアスやサリオスの騎乗依頼もしているほど松山弘平騎手と堀厩舎の距離が急接近。一応、石橋脩騎手が主戦扱いされているものの、重賞級の素質馬になると、外国人騎手や実績上位の日本人騎手を起用するドライな一面があることも、この厩舎の特徴である。
そこへきて今回、石橋騎手でデビュー戦を快勝したダノンベルーガに松山騎手を起用したということは、同馬に対する厩舎の評価が「重賞級」という意味だろう。
事実、デビュー戦はスケールの大きさを感じさせられる好内容だった。
勝ち時計こそ2分01秒3と目立たないが、これはスローになりがちな新馬戦でも、逃げ馬が1000m通過62秒4という超スローに落としたことが原因。そのため、3ハロンの前後半が37秒1-33秒9と完全に前の馬に有利なレース展開となったが、これを全く問題にしないで突き抜けたダノンベルーガの上がりは33秒1と桁違い。
切れ味だけなら先週の東京新聞杯(G3)で大外一気を決めたイルーシヴパンサーと同じ末脚を披露したといっていい。
「ゴール前では流していたくらいでしたから、手応えにはまだ余裕があったはずです。外に出されてからトップスピードに入る姿は、凄みを感じたくらいです。昨秋の東京で2歳馬が強烈な末脚を披露したのは、イクイノックスの32秒9と33秒1のダノンベルーガくらいでした。
時計の遅さは、逆境を跳ね返した上に楽勝したわけですから気になりません。不安よりむしろ期待の方が大きいです。先日のセントポーリア賞だって、前走でレコード勝ちしていたウィズグレイスを、時計で大きく見劣っていたドゥラドーレスが一蹴しましたしね」(競馬記者)
ダノックスの馬がG1を勝てないといわれたジンクスはもう過去の話になった。クラシック候補といわれる馬が、G1に直行するケースも目立つ今年の3歳世代。ダノンベルーガがここをあっさり勝つようだと、勢力図を一気に塗り替えてしまうこともありそう。
まだ人気のないここでこそ、狙ってみたい1頭だ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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