スタートゲートが「勝手に開く」前代未聞のトラブルで、あわや大惨事…! 複数頭が放馬も「単勝1.5倍」大本命馬だけレース参加に疑問の声
9日の姫路競馬8Rで、前代未聞のトラブルが発生した。事が起きたのは発走直前、各馬が順調にゲート入りし、最後大外枠の馬が間もなくゲート入りしようかという時だった。
本レースで、単勝1.5倍の断然人気に支持されていたサヨノハッピーが、前扉に突進しゲートから飛び出してしまう。その結果、鞍上の田中学騎手も直後に落馬。空馬となったサヨノハッピーは、そのままゲート前から走り去ってしまった。
ここまでは中央、地方問わず稀に見られる光景ではある。しかし、今回はこれだけで終わらなかった。
サヨノハッピーが放馬した事で、全馬一旦後ろ向きにゲートから出て待機する事になり、数頭がゲート後方に退いたその時だった。ゲート内には、まだ5頭程の馬が残っているにも関わらず、突如ゲートの前扉が全て開かれたのだ。
もちろんゲート内に残っていた馬たちは、ゲートが開くと同時にスタートを切ってしまう。まさかの事態に、馬を誘導する為にゲート内にいた職員の1人が馬に跳ね飛ばされる形で転倒した。
飛び出してしまった各馬に騎乗する騎手たちも何とか馬をコントロールしようとするも、その内の一頭ローザロッソに騎乗する廣瀬航騎手が落馬し、2頭目の放馬が起きてしまった。
その後、放馬した2頭はコース内を1周程走って捕まえられた。その後、実施された馬体検査の結果、後から放馬したローザロッソが競走除外される事になり、先に放馬したサヨノハッピーはそのまま出走する事になった。
この時、サヨノハッピーの馬券を買っていたファンの中には、かなりの距離を走った後のコンディションに不安を覚えた人も数多くいたのではないだろうか。何せ、同馬は単勝1.5倍の断トツ人気の馬である。
レースでは、そんなファンの不安が的中してしまう形に。断然人気のサヨノハッピーは向正面で果敢に仕掛けるも、直線半ばで失速し3着。大本命馬がまさかのアクシデントで敗れる波乱決着となってしまった。
この結果を受け、ネット上の競馬ファンからはSNSや掲示板などで前代未聞のゲートトラブルや、大本命のサヨノハッピーが敗れた事に対し、疑問の声が多く聞かれた。また、一部のファンからは競馬場側が利益のために、馬券売り上げの大半を占める断然人気のサヨノハッピーの出走を強行したのでは、との憶測まで飛び交う始末だった。
「まさかのアクシデントでしたね。馬が走る以上、競馬に放馬は付き物ですし、地方・中央問わず度々見られる光景です。今回は後に放馬したローザロッソが除外され、先に放馬したサヨノハッピーが出走することになり、違和感を持った方もいたかもしれません。
ただ放馬後、先に捕まったのはサヨノハッピーで、一方のローザロッソはなかなか捕まらず……。放馬する時間が長ければ長いほど、逃げ回る馬は体力を消耗しますし、最終的に姫路競馬も泣く泣くローザロッソを除外せざるを得なかったようです」(競馬記者)
JRAでも、放馬した馬が疲労などにより競走除外されるケーズは珍しくない。ただ、これらは各馬の疲労度や負傷の有無などを専門家が確認しての判断であり、出走する事自体にルール上問題はない。
しかし、放馬した事による疲労が多少なりともある事は、想像に難しくない。“たられば”ではあるが、今回のトラブルがなく、全馬揃って万全の状態で走っていれば、結果が変わった可能性もあり、ファンからすると不信感が募るのも理解できるところだ。
もちろん出走可否の判断に、売り上げの要素などは考慮されない。ただ、今回のように避けられたはずのトラブルによって、余計な憶測を呼び、また余計な体力消耗などでレースに影響を及ぼす事はファンにとっても決して望ましい事ではない。
また、今回は人馬共に大きな怪我がなかったのが不幸中の幸いだ。一つ間違えば大惨事に繋がりかねない事故だった事は間違いない。公平公正かつ安全な競馬の開催の為、再発防止が早急になされる事を願いたい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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