JRAダートの怪物候補が「24馬身半差」の快進撃! 持っている福永祐一の強運、「懸念」となるのはダート王との板挟み?
ダート界に登場した大物の勢いが止まらない。
6日、中山競馬場で開催された10R総武S(OP)を制したバーデンヴァイラー(牡4、栗東・斉藤崇史厩舎)は、今後も名前を覚えておきたい1頭だ。
「内枠だったので、逃げる形を取りました。強かったです。最後まで集中して走っていました」
レースをそう振り返った福永祐一騎手だが、最後の直線でムチすら入らない楽勝だった割には比較的あっさりとしたコメント。パートナーの力を信じていた鞍上にとっては、それほど驚くことではなかったのかもしれない。
本馬を管理する斎藤調教師も「3コーナーで手応えが怪しくなったり、気難しいところがありますが、力のあるところを見せられました」と評した辺り、陣営としては予定通りの勝利だったということだろう。
■怪物候補がダートで破竹の快進撃
単勝1.6倍という圧倒的1番人気に支持されたのも無理はない。
一昨年の10月京都に芝1800m戦でデビューして3着。後方から見どころのある末脚を見せていたものの、驚異的なポテンシャルの高さを発揮したのは、2戦目にダートを使われたのがきっかけだった。
2戦目の未勝利戦で6馬身差の圧勝を飾ると、続く3戦目の1勝クラスを9馬身差の大楽勝。4戦目こそ不良のダートで前残りを許したが、2勝クラスから3連勝でトントン拍子のオープン入り。昇級の壁も問題なく突破し、ダート5勝で2着馬につけた着差は合計24馬身半である。ダートの怪物候補の次なる目標は、重賞での力試しとなりそうだ。
「逃げ馬という訳でもないですから、スピードの違いでハナに立った感じでした。陣営のコメントによると、気性的に少し気分屋なところもあるようですから、相手が強くなるこれからの課題ですね。
それにしても福永騎手はいい馬に巡り合いましたねえ。もしかすると乗せてもらえなかったかもしれない馬でしたが、様々な条件がコンビ結成を後押ししたように感じてしまいます」(競馬記者)
■人馬の巡り合いに不思議な縁
記者が話した様々な条件として挙げられるのは、バーデンヴァイラーの主戦が元々北村友一騎手だったことだ。
しかし、北村友騎手が昨年5月の落馬により重傷を負ったため、白羽の矢を立てられたのが福永騎手だった。芝に戻された5戦目は、スプリンターズS(G1)のピクシーナイトに騎乗したため、幸英明騎手が起用されるも4着に敗れている。
こちらは代打だった可能性が高いとはいえ、今度は昨年12月の香港遠征で自身が落馬によって骨折する想定外のアクシデントも発生。療養している間に手綱を取ったC.デムーロ騎手が華麗な手綱捌きで連勝へと導いていた。
外国人騎手を優先的に起用するノーザンファーム系のクラブ馬でもあり、C.デムーロ騎手の続投を望む声も一部では出ていたものの、JRA所属のC.ルメール騎手らとは異なり、こちらは短期免許での期間限定騎乗。陣営がこれを見据えた上での依頼だったかもしれないが、そうこうしている内に怪我から復帰した福永騎手へと再び戻ってきた格好だ。
順調ならこのまま中距離戦線で活躍が期待されるバーデンヴァイラーだが、気になるのはカフェファラオとの兼ね合いだろう。
ルメール騎手から乗り替わったフェブラリーS(G1)で見事な騎乗を見せた福永騎手とはいえ、初コンビでG1を制した手腕を堀宣行調教師も放っておかないはず。まだ気が早い気もするが、近い将来に鞍上問題で板挟みになる可能性も出てきそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
11:30更新- J.モレイラ「出禁回避」へ負けられない戦い! 桜花賞馬ステレンボッシュは「騎乗不可」、日本ダービーでも悩ましい選択?
- 【日本ダービー】「力があるね」「大したもん」田原成貴氏&安藤勝己氏も高評価!打倒ジャスティンミラノに「最大の惑星」が名乗り
- JRA「理由なき」単勝115.9倍の皐月賞(G1)勝利に呆然……ナリタブライアンのレコードを塗り替えたのは、約110億円分を一瞬で「紙クズ」にしたお騒がせホース
- C.ルメールが「過怠金」横山典弘が「騎乗停止」に賛否両論!? 覚悟の突撃と不可抗力…JRAの一貫した判断とは
- 25年ぶりのJRA最多勝記録更新も視野!? 川田将雅に匹敵する3着以内率62.2%…今「最も信頼できる騎手」森一馬が凄い!
- ナミュール、マスクトディーヴァは大丈夫?高速馬場の「カラクリ」に要注意…歴代最高「2070万馬券」の大波乱はなぜ起きた【ヴィクトリアマイル】
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 【NHKマイルC】アスコリピチェーノ主戦を背に追い切りも【日本ダービー】武豊がキタサンブラック弟と挑む最多7勝目【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
- “リバティアイランドは怪我で回避”最強牝馬不在が意味するもの。ヴィクトリアマイルで社台グループの深すぎる内部事情!
- 田原成貴「頭がお花畑」安藤勝己「最悪の負け方」元JRA騎手の大物が酷評…大一番で弱点露呈のシュトラウス、有馬記念のT.マーカンドに不安の声?
- テーオーロイヤル、ドゥレッツァの骨折も無関係ではない!? タイムトライアルのような京都の高速馬場…宝塚記念前の「怪時計連発」に懸念の声
関連記事
JRA 相馬眼ならぬ「相人眼」が決め手!? 大物オーナーがもたらした福永祐一以来の快挙、3年連続のジンクスに強力バックアップ
JRA 福永祐一以来の「大記録」達成の裏で新人騎手がホロ苦デビュー!? まるで「ランドオブリバティ」のアクシデント遭遇で手痛い洗礼
JRA「26年ぶり」福永祐一以来ド派手デビューのルーキーが誕生! 競馬学校在学時から頭角現した期待の新星、騎乗内容は名手以上の予感!?
JRA大物バーデンヴァイラーの「不安要素」はまさかの福永祐一!? サウジC(G1)健闘マルシュロレーヌ弟、3連勝を狙う新怪物候補が「過信禁物」の理由
JRA「連携プレーにやられた」武豊とキタサンブラックが嘆いた競馬界の禁忌。「単勝1.5倍」福永祐一も巻き込まれた22万馬券の舞台裏