JRA 人間なら「アラフォー」のオジュウチョウサン、限界説はまだまだ早い? 不安払拭する海外のジャンプキング伝説
2011年の3月11日。日本国民であれば、忘れてはならない東日本大震災が発生した日である。
この震災が起こった翌月の4月3日、北海道平取町の坂東牧場で生を受けたのが、後の障害王オジュウチョウサン(牡11歳、美浦・和田正一郎厩舎)だ。
横山武史「心の底から喜べない」痛恨の“油断騎乗疑惑”から2ヶ月半……
奇しくも初めて障害競走に出走したコースが被災地の福島競馬場だった本馬は、入障4戦目で初勝利を挙げると、16年の中山グランドジャンプ(J・G1)優勝を機に一気にスターダムを駆け上り、障害界の「絶対王者」と呼ばれるまでに至った。初障害で大差の最下位に敗れていた馬としては、異例の大出世ともいえるだろう。
ただ、昨年の中山グランドジャンプでは首位に2秒以上つけられる5着とまさかの大敗を喫した。一部のファンから「引退か」といった声も出たほどの敗戦だったが、王者は再度立ち上がり昨年末の中山大障害(J・G1)を復活優勝。レース後には惜しみない拍手が競馬場いや全国のファンから贈られた。
そして、「3.11」の翌日にあたる12日。オジュウチョウサンは2022年の始動戦となる阪神スプリングジャンプ(J・G2)に出走を予定している。同レースには中山大障害で1番人気だったタガノエスプレッソなども出走するため、前走で復活したとはいえ一筋縄ではいかないだろう。
さらに気になるのがオジュウチョウサンの年齢だ。今年で明け11歳と、中央競馬ではなかなか見られない高齢である。北海道の『日高振興局』HP内にある「4歳以上の馬の年齢換算式」を参考に本馬を人間に例えると、来月で41歳なのだ。
■人に例えるとアラフォーのオジュウチョウサン
41歳以上の現役プロ野球選手が12球団合わせて4名しかいないように、40歳という年齢は残念ながら衰えがジワジワと襲いかかる年頃。また、JRAの平地最高齢勝利が10歳であることから、いくら王者とはいえそろそろ厳しいという見方もできる。
しかし、プロ野球では50歳まで現役を続けた元中日ドラゴンズの山本昌投手がいるように、障害界にも11歳以上の年齢でも活躍を続けた馬がいる。
■12歳で障害G1を勝った馬
「カラジですよね。懐かしいです。現在はなかなか見られない海外から日本に遠征しにきた障害馬になります。
2005年から2007年にかけて中山グランドジャンプを3連覇したオーストラリアの馬で、当時の年齢が10歳から12歳。つまり、現在のオジュウチョウサンより上の年齢でジャンプG1を制しました。
オジュウチョウサンも歴史的な名馬の1頭ですが、カラジもまた素晴らしい馬でした。前哨戦で1度障害オープンを使って敗れるのですが、必ず本番のG1は勝つんですよ。
今回オジュウチョウサンが勝てば、カラジ以来となる11歳以上でのJRA重賞勝利の偉業になりますから、是非とも頑張ってほしいです」(競馬誌ライター)
1週前追い切りでは平地重賞馬テルツェット相手に追走併入と、11歳馬とは思えないパワフルな走りを披露したオジュウチョウサン。是非ともオーストラリアが誇るジャンプ王以来の快挙が今週末に達成されることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
PICK UP
Ranking
5:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 【天皇賞・春】「横山典弘マジック」に翻弄された敗戦の弁?大敗でも爪痕残した名手の存在感…テーオーロイヤル、ディープボンドの好走にヒント
- 【オークス】石川裕紀人が滑り込みでラストチャンスをゲット!?血統的に距離延長歓迎の穴候補に浮上…カワカミプリンセス、カレンブーケドールに続けるか
- 「信じた俺がアホ」天皇賞・春(G1)大本命テーオーロイヤル優勝も「自信の1点勝負」は空振り…藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
- 【天皇賞・春】ドゥレッツァでもタスティエーラでもない光明!? レベル疑問の4歳世代に「惑星ステイヤー候補」が登場
- 日本ダービー馬は運が良いだけ!? 天皇賞・春(G1)J.モレイラ「完璧騎乗」もタスティエーラ惨敗の絶望感…G1「2勝以上」上積みは2007年ウオッカが最後
関連記事
JRA 「三冠、凱旋門賞まで意識している馬」三冠トレーナーが絶賛した大物候補がリベンジマッチ!? POG大人気馬は「第二のオジュウチョウサン」となれるか
JRA ドウデュース「最優秀2歳牡馬」受賞の決め手は武豊!? ライバルとの直接対決に敗れたオジュウチョウサンとの共通点とは
JRAオジュウチョウサン、来年はエフフォーリアらとガチンコ勝負!? “感涙”中山大障害(G1)復活Vで「現役賞金王」へ
JRA オジュウチョウサン優勝も三連単「16万オーバー」! 中山大障害(G1)ノーマーク10番人気馬の激走要因とは
JRA武豊も騎乗した兄はG1で「大差レコード」の現役レジェンド! 超大物の弟がついに登場、芝1800mデビューも目指すは暮れの大一番?