JRA 「三冠、凱旋門賞まで意識している馬」三冠トレーナーが絶賛した大物候補がリベンジマッチ!? POG大人気馬は「第二のオジュウチョウサン」となれるか
先日発表されたJRA賞で、見事「JRA賞最優秀障害馬」のタイトルを獲得したオジュウチョウサン。これが実に2018年以来、3年ぶり4回目の受賞だった。
前回受賞時の18年といえば、平地競走に再挑戦した年でもある。
同馬は13年のデビューから2戦続けて平地を使われたが、当時は11着、8着と歯が立たなかった。しかし、障害競走を経て力をつけたのか、5年後の平地復帰戦となった開成山特別(1勝クラス)を快勝すると、次戦の2勝クラスも連勝。さすがに一級馬が揃った有馬記念(G1)は9着に敗れたが、障害馬でも平地で通用することを証明してくれた。
そして、この度また1頭、障害の実力馬が平地競走に復帰することが決まった。その馬とは、30日の中京10R・美濃S(3勝クラス)に出走予定のフォイヤーヴェルク(セ9歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
父ディープインパクト、母ナイトマジックという血統。父は言わずと知れた日本を代表する7冠馬で、母は09年に独オークス(G1)などを制して、ドイツ年度代表馬に輝いた名牝である。
ドイツが誇る名牝の初年度産駒として生を受けたフォイヤーヴェルクは、育成段階から多くの人々の目に留まる存在となる。
「15年はどこのPOG(ペーパーオーナーゲーム)本を読んでも、フォイヤーヴェルクの話題ばかり。とにかく生産したノーザンファームの関係者や預託先の池江師が、本馬を大絶賛していたんですね。
そのため、母が外国産馬の初年度産駒ながら募集価格も強気でした。一口300万円の40口募集です。これは兄弟馬に活躍馬が多数いるダービー馬シャフリヤールらと同じ価格。高額でお馴染みのサンデーレーシングとはいえ、これほどの募集価格はあまり見られません」(競馬誌ライター)
それほど関係者も「走る」という確信があったのだろう。以下は実際にPOG本で掲載されていた関係者のコメントだが、どのコメントもフォイヤーヴェルクの大活躍を予感させるほど壮大だ。
「小柄なんですが、バネのかたまりみたいで、この世代では一番ディープインパクトに近い。どんどん力つけているし、将来が非常に楽しみです」(ノーザンファーム吉田勝己代表、サンケイスポーツ『丸ごとPOG 2015~2016』より)
「日本の三冠はもちろん、凱旋門賞まで意識している馬です。ディープよりも伸びのある体型しているし、身のこなしも柔軟性があって素晴らしいですね」(池江泰寿調教師、ガイドワークス『競馬王のPOG 2015-2016』より)
関係者の期待を乗せて無事に15年11月にデビューした本馬だったが、新馬戦では後のG1馬リオンディーズに2秒以上離される13着と大敗。何とか4戦目で未勝利を突破するも、その後これといった活躍は見せず。3勝クラス到達までが精一杯だった。
そんな準オープンで頭打ちの状況が続くフォイヤーヴェルクの運命を変えたのが、障害レースだった。
2年前の4月に障害デビューすると、初戦から3着と頭角を表し、次戦で8馬身差の圧勝。続く障害オープン、新潟ジャンプS(JG3)も連勝し、平地では成し遂げられなかった重賞馬の仲間入りを果たした。
「近走は結果が出ていないフォイヤーヴェルクですが、障害練習で足腰が鍛えられ、以前よりパワーアップしているのは間違いないでしょう。
元々予定していた牛若丸ジャンプS(OP)を除外されたため、併せて登録していた美濃Sに出走というのが、今回の平地再挑戦の理由と見られています。ただ、オジュウチョウサンの例もありますし、平地全4勝のうち3勝を占める左回りが舞台です。アッと驚く激走があるかもしれませんよ」(同)
関係者の期待から少し離れた成績かもしれないが、障害で好成績を残したことで募集価格を上回る賞金を稼いでいるフォイヤーヴェルク。明け9歳初戦に、かつての有望株の意地を見せてほしいところだ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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