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JRA「レースやり直し」矢作芳人厩舎1日2度目の3200mに呆然……「今思い返してもすごい経験」“世界の矢作”が味わった10年前のアウェーの洗礼

JRA矢作芳人厩舎「レースやり直し」1日2度目の3200mに呆然……「今思い返してもすごい経験」世界の矢作が味わった10年前のアウェーの洗礼の画像1

 26日にドバイのメイダン競馬場で開催されるドバイワールドカップデー。今年は過去最多となる22頭もの日本馬が出走を予定しており、4勝という快挙を飾った2月のサウジカップデーに続く大活躍が期待されている。

 中でも、日本だけでなく世界から注目を集めているのが、日本最多の4頭出しを行う矢作芳人厩舎だ。

 2019年に豪コックスプレート(G1)をリスグラシューで制し、昨年には米ブリーダーズCをラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌで2勝。どちらも日本初の快挙であり、昨年は米国のJRA賞にあたるエクリプス賞も受賞した。先月のサウジカップデーでもステイフーリッシュがレッドシーターフハンデキャップ(G3)を勝利するなど、その勢いは最早日本だけに留まるレベルではない。まさに「世界の矢作芳人」である。

 そんな矢作厩舎だが、かつては幾度も海外で「アウェーの洗礼」に泣いた。

「日本の競馬では起こりえない」と多くのファン、そして関係者が今でも記憶しているのが、マカニビスティーで挑戦した2012年のドバイゴールドC(G3)だ。

「今思い返してもすごい経験やったなぁ」

『netkeiba.com』で好評連載中の『太論』にて当時の鞍上・小牧太騎手がそう振り返った一戦。マカニビスティーは重賞こそ勝てなかったものの、その年の日経新春杯(G2)で3着、前年の天皇賞・春(G1)で4着と、それなりに期待されている存在だった。

 予定通り13頭によって行われたレースで、スタートから果敢にハナに立ったのがマカニビスティー。レースの主導権を握った日本のステイヤーだったが、向正面に入ったところでレースそのものが、まさかの中止……。出走馬の1頭がスタート直後に故障し、コース上で倒れたまま動けなくなったのだ。

 一度スタートしたレースそのものが中止になる珍事。日本のJRAのレースでは前代未聞だが、小牧騎手曰く地方では過去にあったそうだ。しかし、これで終わらないのが、まさに海外特有の「アウェーの洗礼」である。

 なんと一度中止になったはずのドバイゴールドCが、同日のドバイワールドC(G1)後に再び行われることになったのだ。

 日本競馬ではあり得ない展開だが、“2度目のレース”に挑むのは他のライバルたちも同様だ。だが、その上で矢作調教師ら陣営にとって不幸だったのは、マカニビスティーがレースの序盤で多くの力を使う逃げ馬だったことに他ならない。単純に考えて、1度目のレースで最もエネルギーを消耗したのは、序盤から飛ばしていった本馬だろう。

「スタート直後にゲートをやり直すカンパイという制度がありますが、まさか向正面まで走ってやり直しになるとは……。もしドバイゴールドCがトラックを2周する3200mのレースではなくもっと短い距離なら、仮に馬がコース上で動けなくなってもレースの施行に大きな影響はないはずでした。ただ、安全面を考慮すると主催者側の中止という判断は妥当だと思いますね。

しかし、再戦となると話は別です。ドバイゴールドCはドバイワールドカップデーの3レース目でしたが、メインのドバイワールドCの後となるとわずか数時間後。体力面はもちろんのこと、1日に2度のレースを経験したことがない馬にとっては精神面でも相当な負担だったと思います」(競馬記者)

 実際に2度目のドバイゴールドCでは、さらに2頭の馬が故障を発生して競走を中止。再レースとの因果関係は定かではないが、再び果敢にハナを切りながらも最後は歩くように最下位でゴールしたマカニビスティーら陣営にとっても、何とも言えない不満の残るレースだったに違いない。

 あれから10年。2014年からG2に昇格したドバイゴールドCへ、矢作厩舎はステイフーリッシュを起こり込む。現地ではレッドシーターフハンデキャップの勝ち馬として有力候補の1頭に挙げられているが、果たして厩舎として10年越しの“リベンジ”なるだろうか。

 いずれにせよ、まずは全馬無事に完走することを祈りたい。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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