JRA【阪神牝馬S(G2)展望】アカイトリノムスメVSジェラルディーナ「三冠娘」が激突! エアグルーヴ孫「大器」アンドヴァラナウトも虎視眈々
9日、阪神競馬場ではヴィクトリアマイル(G1)の前哨戦・阪神牝馬S(G2)が行われる。10頭前後の少頭数が予想されるが、名牝系の良血馬がそろい、楽しみな一戦となりそうだ。
デビュー前から「12冠ベビー」として話題を振りまいてきたディープインパクト×アパパネの三冠配合、アカイトリノムスメ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)はここから始動する。
デビュー戦で7着に敗れた後は3連勝でクイーンC(G3)を制覇。桜花賞(G1)4着、オークス(G1)2着と、3歳の春シーズンは善戦するも勝ちきれなかった。ぶっつけで臨んだ牝馬三冠最終戦の秋華賞(G1)は4番人気に甘んじたが、好位から抜け出して快勝。レース史上初の母娘制覇という偉業を達成した。
その後はエリザベス女王杯(G1)で古馬に挑み、レイパパレに次ぐ2番人気に推されたが、ハイペースに巻き込まれての7着。最後の直線で窮屈になる場面があったが、ゴール前で再び脚を伸ばしていたように、スムーズなら馬券圏内があったかと思わせる悔しい競馬となった。
今回は、あくまでも大目標のヴィクトリアマイルを見据えての一戦となるが、メンバー唯一のG1ウイナーとして無様な姿は見せられない。母に続く古馬マイル女王に輝くためにも、進化した姿を見せたいところだ。
昨年の秋華賞でアカイトリノムスメの3着に好走したアンドヴァラナウト(牝4歳、栗東・池添学厩舎)は、曾祖母ダイナカール、祖母エアグルーヴ、母グルヴェイグと続く名牝系の出身である。
3走前のローズS(G2)を制して母娘4代にわたる重賞制覇を達成すると、秋華賞でも見せ場たっぷりの競馬で、世代牝馬上位の実力を示した。
満を持して臨んだ前走の愛知杯(G3)は1番人気に支持されたが、不可解な11着に惨敗。テン乗りで騎乗した松山弘平騎手は「好位で脚をためるイメージ通りの競馬ができたが、思った以上に脚が使えなかった」と振り返ったように、敗因は明確ではない。
前走後は再び一息入れて、3月中旬に放牧先から栗東に帰厩。1週前追い切りでは、栗東CWで82秒4-11秒1の好時計をマークするなど順調さをアピールしている。
鞍上を再び福永祐一騎手に戻して迎える今回はアカイトリノムスメを逆転できるか。
国内外のG1を通算7勝したジェンティルドンナの娘、ジェラルディーナ(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は大阪杯(G1)を除外され、矛先をマイル路線に変えてきた。
モーリス産駒らしく、3歳夏以降に右肩上がりの成長曲線を描いているジェラルディーナ。昨年7月から10月にかけて1勝クラス~3勝クラスを3連勝してオープン入りを果たすと、果敢に強豪牡馬に挑戦。チャレンジC(G3)と京都記念(G2)では、ともに4着と健闘している。
特に前走はアフリカンゴールドが逃げ粘る前有利の展開だったが、後方から上がり最速の末脚を駆使しての4着。その前走から一気に600mの距離短縮となるが、課題の発馬が改善された今なら期待しても良さそうだ。福永騎手がアンドヴァラナウトに騎乗するため、今回は幸英明騎手が代打騎乗を務める。
ここまで4歳馬の3頭を有力候補として挙げたが、5歳馬も負けていない。レース史上初の連覇を狙うのはデゼル(牝5歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
1年前に重賞初制覇を飾って以降は、ヴィクトリアマイル8着、府中牝馬S(G2)16着、エリザベス女王杯8着と一転不振に陥っていた。復調の気配をのぞかせたのは前走・愛知杯で、ルビーカサブランカから「アタマ+クビ」差の3着。勝ち馬とは3.5kgの斤量差があったため、勝ちに等しい内容だったといえるだろう。
2戦2勝と得意とする阪神外回りなら、有力4歳勢を一気に飲み込む可能性も十分考えられる。鞍上は引き続き川田将雅騎手が務める。
1年前の当レースでデゼルにクビ差で敗れたマジックキャッスル(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)。デゼルとはこれまで5度の直接対決があり、3度先着しているように力は互角かそれ以上だ。
マイル以下の距離では7戦して、桜花賞の12着以外は馬券圏内を確保している。この距離では大きく崩れることはないと見ていいだろう。
実績面ではかなり劣るが、シャーレイポピー(牝4歳、栗東・石坂公一厩舎)も不気味な存在だ。
前々走の甲東特別(2勝クラス)を先行して押し切り勝ち、前走の武庫川S(3勝クラス)は逃げ切って、待望のオープン入りを果たした。実績で劣るといっても、3歳時にはチューリップ賞(G2)と紫苑S(G3)でいずれも掲示板を確保しているように、相手なりに走るタイプ。充実した今なら大物食いがあっても驚けない。
ヴィクトリアマイルに向けた重要な前哨戦・阪神牝馬Sは9日の15時35分に発走予定となっている。
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