JRA“非情”の乗り替わりに見るオークス(G1)「鞍上問題」ドタバタ劇……福永祐一に新コンビも、主戦C.ルメールが浮上しなかった理由

29日、先週のフローラS(G2)を制したエリカヴィータ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)が、福永祐一騎手との新コンビでオークス(G1)へ向かうことがわかった。
2番人気に推されながらも10着に敗れた1月のフェアリーS(G3)から見事な復活を遂げたエリカヴィータ。2020年のセレクトセールで1億8700万円(税込み)で取引された良血馬だけに、この春も皐月賞(G1)を勝つなど存在感十分の福永騎手を確保でき、陣営もまずは一安心といったところか。
しかし、競馬ファンは今回の乗り替わりを複雑な心境で受け止めているようだ。
トライアルを勝っても降ろされた田辺裕信騎手
「フローラSで騎乗した田辺裕信騎手を思えば、ちょっと可哀想ですよね。トライアルを勝って“満点回答”をしたわけですから。国枝調教師によるとオーナーサイドの判断らしいですが、ネット上のファンからは『非情』という声もありました。現状、田辺騎手にこれといったオークスの騎乗馬がいるわけでもないので。
ただ、この馬は元々C.ルメール騎手が乗っていた馬で、田辺騎手はあくまで代打だった可能性が高そうです。それでもルメール騎手が不確定だったため、田辺騎手がコンビ継続のままオークスでも騎乗する可能性がありましたが、福永騎手に決まったのはちょっと意外でした」(競馬記者)

桜花賞(G1)では12番人気のフォラブリューテに騎乗して14着に大敗しているルメール騎手。記者曰く当初は、フローラSで騎乗したラスールとのコンビでオークスに参戦する可能性があったという。
しかし、トライアルで6着に敗れると骨折により戦線離脱……。5年連続リーディングジョッキーの騎乗馬が空白になったわけだが、それでもエリカヴィータとコンビを再結成することはなかったようだ。
「実は、米クラシック第2戦となるプリークネスS(G1)がオークスの前日となる5月21日に行われます。まだ正式な発表はありませんが、クラウンプライドのケンタッキーダービー(G1)の結果次第では続戦がありそうです。その場合、ルメール騎手が引き続き騎乗する可能性が高いでしょうね」(同)
実際に、今週ルメール騎手はケンタッキーダービーに騎乗するために、JRAに海外渡航届を提出。この遠征により、8日に日本で行われるNHKマイルC(G1)には騎乗できないが、『スポニチ』の取材には「今回はいい挑戦だと思う」と語るなど、米国三冠挑戦への思いは強いようだ。
「2016年には、クラウンプライドと同じようにUAEダービー(G2)を勝ったラニが武豊騎手とのコンビで米国三冠を完走しています。クラウンプライドも米国三冠に予備登録を済ませており、日本競馬史上2頭目の米国三冠完走となるかもしれません。
これまでは日本競馬にとって、本場として名高い米国のダートは高い壁でしたが、昨年のブリーダーズCディスタフ(G1)をマルシュロレーヌが勝利したことで希望が見えてきました。相手は強いですが、クラウンプライドが好走しても大きな驚きはないと思います」(同)
また、別の記者はルメール騎手のもう1つの可能性を語る。

「今、オークスの鞍上問題の中心にいるのが川田将雅騎手。本来なら、桜花賞を勝ったスターズオンアースですが、同日に行われた忘れな草賞(L)を勝ったアートハウスも川田騎手の手綱で勝利しています。
スターズオンアースはテン乗りでの勝利だったことに対して、アートハウスは川田騎手が主戦を務める馬。親交が深い中内田充正厩舎の所属馬ですし、川田騎手がこちらを選んでもおかしくありません。場合によっては、川田騎手が選ばなかった方にルメール騎手が騎乗する可能性もありそうです」(別の記者)
桜花賞を7番人気で制したスターズオンアースだが、10着のナミュールまでコンマ3秒差にひしめく大混戦だった。オークスも引き続き、どの馬にもチャンスがありそうな状況で、だからこそより「鞍上」が重要さを増している。
果たして約1か月後に行われる三歳牝馬の頂上決戦には、誰がどの馬に騎乗しているのか――。毎年恒例の鞍上問題は、例年以上の複雑さを見せている。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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