
天才・武豊が、世界に誇る正確無比の「時計」 逃げ馬キタサンブラックは何故いつも崩れないのか? 現役王者の”逃亡劇”を支える秘密
だが、ドロウアカードはファンディーナに早々に先頭を奪われ、シーズララバイの強襲にクビ差だけ競り負けたが、後続を封じて3着を確保している。
その裏には武豊騎手の巧妙なペース配分がある。
先述した通り、1000m通過が61.1秒は過去5年のフラワーCの最速。当然ながら、周りの騎手も「速い」ことを把握している。そうなると前が止まりやすくなる以上、下手に早仕掛けするよりも「勝負所までしっかりと脚を溜めるべき」と考えるのがセオリーだ。
しかし、そのセオリーを上手く利用するのが武豊騎手の真骨頂。実は1000m通過こそ5年間で最速だったが、その後は「(ペースが速いと思い)後ろが動けないこと」を逆手に取り、ギリギリまで仕掛けを遅らせている。
最終的にドロウアカードは、2年前に逃げ切ったエンジェルフェイスより0.2秒遅いタイムと、逃げ馬にとってまったく無理のない時計に帳尻が合わせされているのだ。レースから引き揚げてきた武豊騎手も「(1000m通過が)61.1秒は予定通りで、後半はいい感じだった」と胸を張った。
このような俗に「ユタカマジック」と呼ばれる芸当ができるのは、武豊騎手がレース中でも極めて正確な”体内時計”を有しているからに他ならない。
かつて世界最高峰のレース・凱旋門賞(G1)を3連覇し、日本でも有馬記念(G1)3連覇など輝かしい実績を残したO.ペリエ騎手が「ユタカは頭の中に時計を持っている。競馬では常に適切なポジションにいるから、道中で(彼の)後ろにつけることができればハッピーだ」と語り、世界で5本の指に入る名手と絶賛している。
そんな武豊騎手の体内時計を象徴するようなレースの1つが、一昨年にエイシンヒカリで逃げ切り勝ちを収めた都大路S(OP)だ。
京都芝1800mで行われたこのレースは、1番人気に推されたエイシンヒカリが終始ペースをコントロールしての逃げ切り勝ち。しかし、実はこのレースも1000m通過は58.8秒と遅くない。それも馬場状態は稍重である。
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