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JRA「生まれた時代が悪かった」獲得賞金“3億円”の差に啞然…日本ダービー(G1)史上「最も運の悪い馬」は稀代のシルバーコレクター

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 昔から、皐月賞(G1)は「最も速い馬」、菊花賞(G1)は「最も強い馬」なのに対し、日本ダービー(G1)は「最も運のある馬」が勝つという競馬の格言が存在する。

 この理由として、以前はフルゲートが20頭以上にもなる多頭数で行われていた背景があり、枠順の内外による運で着順に大きな影響を及ぼしたことから、そういわれるようになった。

「そんなことはお構いなし」と2005年のダービーを制したディープインパクトのように、その後三冠を達成してG1を幾度となく勝つ名馬もいれば、生涯唯一のG1勝利がダービーのみだったキズナ、ワグネリアン、ワンアンドオンリーのような馬もいる。そういった側面では「最も運のある馬」が勝つという格言は、現代においてもあながち間違ってはいないようにも感じる。

日本ダービー(G1)史上「最も運の悪い馬」は稀代のシルバーコレクター

 しかし、その一方で惜しくもダービー馬の栄冠を逃し、その後の戦績からもダービー史上「最も運の悪い馬」と評しても過言ではない馬も存在する。2011年の日本ダービーで、後の三冠馬オルフェーヴルの2着に屈したウインバリアシオンである。

 前哨戦に選んだトライアルレースの青葉賞(G2)では、前半1000m通過タイム1分3秒7の超スローペースのなか、最後方からの直線一気を決め見事にダービー出走への切符を掴んだ。本番での下馬評は決して高くはなかったが、皐月賞からの二冠を狙うオルフェーヴルと張り合えるだけの末脚は確実に持っていた。

 そして迎えた当日は、台風接近の影響もあって生憎の不良馬場。1枠1番からスタートを切ると、そのオルフェーヴルを前に見ながら道中は後方15番手から追走する。4コーナーを曲がり最後の直線に入ると、どの馬も経験した事のない極悪馬場に足を取られて藻掻く中、大外から鋭い末脚で猛然と追い込む。

 残り200mを切った辺りからは、内から先に抜け出したオルフェーヴルとの完全な一騎打ち。一瞬交わせるかと思うような脚色だったが、最後までその差を詰めることは出来ず、惜しくもダービー馬の夢は潰えた。

 その後、オルフェーヴルは、有馬記念(G1)や宝塚記念(G1)を制覇。海外の凱旋門賞(G1)でも2年連続2着するなど、競馬史に残る名馬へと駆け上がった事を考えると、同世代に生まれたウインバリアシオンは「不運だった」と言うほかない。

 また、仮にオルフェーヴルがいなければ、ダービー以後5度の直接対決では、日本ダービー1着、神戸新聞杯(G2)1着、菊花賞1着、宝塚記念3着、有馬記念1着となり、当時のレートではあるが、獲得賞金で3億円もの差額がついている。まさに「生まれた時代が悪かった」といえるだろう。

 それでもオルフェーヴルの引退レースとなった有馬記念には、「間に合った」と言わんばかりに屈腱炎から復活したウインバリアシオンの姿があった。かつてのライバルに8馬身差の圧倒的な差は付けられたものの、有終の美に花を添える2着に好走した。

 当時のレース後には、日本ダービーで鞍上を務めた元JRA騎手の安藤勝己氏も、自身のTwitterで「オルフェが凄すぎるだけ」「G1のひとつふたつ勝てる」と振り返っていたほど能力を評価していたが、結局引退まで悲願は叶わずG1やG2で7度も2着に敗れたシルバーコレクターとなった。

 華々しくスポットライトを浴び続けたオルフェーヴルの影で、名脇役として競馬界を盛り上げ続けたウインバリアシオン。いつしか2頭の間には、“ライバル”ではなく“盟友”という関係性が芽生えていたようにも思う。

 そんな2頭が激闘を繰り広げたダービーから11年。今年は一体どんなドラマが待っているだろうか。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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