JRA「BNW」ウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンの陰で忘れ去られた「4頭目」の苦い思い出……29年前の日本ダービー(G1)雪辱へ、ノーザンファーム独占「4強」の牙城を崩す!
いよいよ待ちに待った競馬の祭典・日本ダービー(G1)がやってくる。今年の牡馬クラシック戦線は各馬の実力が均衡した混戦模様、その中でも皐月賞(G1)で好走した上位4頭がそのまま「4強」としてダービーでも有力とみられている。
この「4強」はお互いが世代の頂点を争うライバルとなるが、見方を変えれば同じ”チーム”に属しているともいえる。実はこの4頭を生産したのは全てノーザンファームであり、今年のダービー「4強」はすべて同ファームが独占している状況にある。今年の牡馬クラシック戦線は大成功、「4強」のどの馬が勝っても満足のいく結果といえるだろう。
一方で、この現状に苦い顔をしていると思われるのが、馬産界のライバルである社台ファームである。
ノーザンファームと並ぶ馬産界の2大巨頭ともいえる社台ファームだが、日本ダービーでは近年結果を残せておらず、生産馬のダービー制覇は2010年のエイシンフラッシュまで遡る。過去10年の間に5頭ものダービー馬を輩出したノーザンファームとは、大きく差がついてしまっている状況だ。
先日のオークス(G1)では社台ファーム生産のスターズオンアースが勝利し2冠を達成。牝馬クラシックでは最高の結果を残せたが、日本ダービーでは「4強」への苦戦が予想される。社台ファームからは3頭が出走するが、アスクビクターモア、オニャンコポンは皐月賞でも「4強」に迫る走りを見せているだけに、何とか一矢報いたいところである。
社台ファーム、29年前の苦い思い出
過去に社台ファームの生産馬が牝馬2冠を達成したのは1993年のベガまで遡るが、奇しくもこの年の牡馬クラシックも、今年に負けず劣らずの大混戦であった。
この年の牡馬クラシックはウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンが人気の中心であった。だが、皐月賞でそこに風穴を開けて3着に好走したのが、4番人気であった社台ファーム生産のシクレノンシェリフだった。
続く日本ダービーではウイニングチケットが勝利、そこにビワハヤヒデ、ナリタタイシンが続いたが、シクレノンシェリフはまさかの14着に惨敗……。
結局、後にこの時代はダービーで好走した3頭の頭文字を取った「BNW」として語り継がれることとなり、シクレノンシェリフは歴史から忘れ去られることに。牝馬クラシックで2冠に湧いた翌週に「3強」の前に惨敗を喫した1993年の日本ダービーは、社台ファームにとって苦い記憶となってしまったのだ。
今年も社台ファームにとっては1993年と同様に、生産馬のスターズオンアースが牝馬2冠を達成。日本ダービーでは「4強」に挑む構図となった。
果たしてアスクワイルドモア、アスクビクターモア、そしてオニャンコポンの3頭は「4強」の牙城を崩すことができるだろうか。シクレノンシェリフの無念を晴らす、社台ファーム生産馬たちの逆襲に期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
PICK UP
Ranking
11:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
- 【宝塚記念】今年のグランプリは「超ハイレベル」の一戦?リバティアイランド、ドウデュースら「最強メンバー」が激突も
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【日本ダービー】「芝未勝利馬」の参戦視野に懐疑的な声? 無傷の4連勝でダービー挑戦も「シンガリ」に敗れたサクセスブロッケンの記憶
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 天皇賞・秋の注目馬も激白! 秋葉原オタクカルチャーの代表選手・桃井はるこが競馬の魅力を語り尽くす!(後編)
- 「競馬愛」が溢れすぎ! 秋葉原オタクカルチャーの代表選手・桃井はるこが競馬の魅力を語り尽くす!(前編)
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 【NHKマイルC】ファンの興味は「15番枠」が1番人気?固唾をのんで待つ運命の枠順発表…ただの偶然で済まされない「幸運」を手にするのはどの馬か
関連記事
JRAキタサンブラックもキングヘイローも赤っ恥の14着大敗……日本ダービー(G1)イクイノックスにかかる雪辱
ゴールドシップ、テイエムオペラオー、ダイワメジャーらが撃沈……福永祐一の日本ダービー(G1)3連覇はいばらの道
元JRA細江純子さん「皐月賞とは、まるで別馬」イクイノックス、ドウデュースら日本ダービー(G1)4強「上積み」であの馬を絶賛! 一方で“酷評”されたのは……
JRA「早く調教師になって」“パリピ”福永祐一に川田将雅が辛口エール!? 武豊でも成し得ていない日本ダービー3連覇へ「万年2番手」が覚醒したワケとは
JRAジオグリフ、イクイノックス、ドウデュース、ダノンベルーガの4強で思い出される2014年の大波乱……今年の「大穴」マイネルフロスト2世はこの馬?