JRA安田記念(G1)“断眠断食”はもうゴメン!? 矢作芳人調教師「逃げ宣言」ホウオウアマゾンに激走気配!
5日に東京競馬場で行われる安田記念(G1)は、前売りオッズからも混戦模様が見て取れる。
人気の中心はエフフォーリア世代とも称される4歳世代の馬たちだ。牡馬5頭、牝馬2頭の計7頭が出走を予定しているが、そのうちの6頭が7番人気以内に支持されている(人気・オッズは4日15時現在)。
4歳馬による上位独占の可能性も考えられる今年の春のマイル王決定戦。そんな中で“唯一の不人気4歳馬”という汚名を着せられているのがホウオウアマゾン(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
不振が続くホウオウアマゾンだが…
1番人気に推された前哨戦のマイラーズC(G2)では、ソウルラッシュに半馬身差の2着に好走。ソウルラッシュは上位人気の一角を形成しているにもかかわらず、ホウオウアマゾンの方は大きく人気を落としている。単勝オッズは50倍見当で、14番人気。複勝オッズも10倍を超える不人気ぶりだ。
評価急落の最大の理由は、東京で2度の大敗があるためだ。これまで中京を含めた地元・関西圏では「3-4-1-2」と安定した成績を残しているホウオウアマゾンだが、東京競馬場ではNHKマイルC(G1)9着、東京新聞杯(G3)12着と、いずれも凡走している。
当然、「長距離輸送」苦手説が取り沙汰され、陣営も「いつも輸送でテンションが上がってしまう」とそれを認めている。
『スポニチ』の取材に答えた池田厩務員は「前日輸送で現地入りすると着いてから寝ないし、カイバも食べない」ともコメントしており、今回も長距離輸送への不安は消えない。
「ホウオウアマゾンは本当に長距離輸送が嫌いなのでしょう。人間と同様、競走馬にとって“食”と“睡眠”は非常に重要なはずです。修行中の僧侶ではありませんが“断眠断食”で走っていれば、凡走は必然の結果だったと言えます。
『二度あることは三度ある』ということわざもありますが、そこは世界の矢作厩舎。同じ過ちを三度も犯さないはず。今回は初の金曜輸送で、すでに現地入りしています。『1日早く現地に入ることで環境に慣れ、落ち着いて臨むことができるはず』という池田厩務員のコメントからも、当日のパドックを見る前に取捨を決めるのは危険かもしれません」(競馬誌ライター)
「三度目の正直」で激走をもくろむ今回の東京遠征。金曜輸送に加え、3枠5番という枠順もホウオウアマゾンには追い風となりそうだ。
矢作師は「いい枠だね」とニンマリし、「レシステンシアも外に入ったし、ハナもありの積極的な競馬をしたい」と“逃げ宣言”とも取れる発言をしている。
出走馬18頭を見ても、逃げ候補はホウオウアマゾン以外にはレシステンシアがいるくらい。そのレシステンシアも前走・ヴィクトリアマイル(G1)は2番手に控えて3着に粘走しているように、今回も前に馬を置いて競馬がしたいはずだ。そうなれば、ホウオウアマゾンがノーマークの単騎逃げに持ち込める可能性も出てくるだろう。
金曜輸送は吉と出ることはあっても凶になることはなさそう。人気馬の陰に隠れた4歳馬を甘く見れば、手痛いしっぺ返しを食らうかもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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