JRA C.ルメールも川田将雅も認めた実力に「開花」の兆し!? クラシック候補脱落からまさかの1年…「9戦連続」1番人気でついに連敗ストップ
11日、東京競馬場で行われた10Rの芦ノ湖特別(3歳上・2勝クラス)は、C.ルメール騎手の1番人気ボーデン(牡4、美浦・木村哲也厩舎)が勝利した。良馬場の芝1600m戦で勝ちタイムは1分35秒1。ゴール前で粘り込みを図る2番人気ココリホウオウに1馬身の差をつける完勝で半年ぶりの勝利の美酒に酔った。
デビュー当初、川田将雅騎手とのコンビで重賞級の実力を認められていたかつてのクラシック候補が、いまだに自己条件を走っている姿を誰が想像できただろうか。それほどボーデンが未勝利戦でファンに残したインパクトは大きかった。
一昨年12月中山のデビュー戦を2着に敗れ、昨年1月東京・芝1800mの未勝利戦に出走したボーデンは、2着馬に6馬身差をつけて圧勝した。勝ち時計1分45秒2は、東京競馬場で行われた3歳戦においてJRA史上最速であり、近年でこれを上回ったのは、三冠馬コントレイルが2歳秋の東京スポーツ杯2歳S(当時G3)でマークした1分44秒5という規格外のレコードくらいだった。
ところが、1番人気で挑んだ重馬場のスプリングS(G2)を3着に敗れ、フレグモーネの発症で皐月賞(G1)を回避してから思わぬ低迷が続くこととなる。
C.ルメールも川田将雅も認めた実力に「開花」の兆し
仕切り直しとなったラジオNIKKEI賞(G3)を1番人気で6着に敗れると、次走の1勝クラスで単勝1.1倍の断然人気でまさかの4着。その後も1番人気に支持されながら、勝利を掴んだのは2走後の1勝クラスの足踏み。昇級後も今年の2月、4月と連敗してようやく勝てたのが先週末だった。
こうして振り返ると、2戦目から9戦連続で1番人気に支持されているのだから、ファンのボーデンに懸ける期待の大きさを物語っているのだろう。
早めに動いて後続馬の末脚に屈した前走の敗戦を「今日は僕が上手く乗れなかった」と悔やんだルメール騎手だが、今回の快勝には手応えを感じた様子。「1600mがいいと思います」とコメントしており、適性は中距離よりもマイル向きなのかもしれない。
切れる脚が武器の馬だけに、渋った馬場で持ち味が生きない弱点はあるものの、伸びそうで伸びなかったり、ゴール前で粘りを欠いての敗戦を考えると、もしかしたらこれらの詰めの甘さは距離が長かったという可能性も出てくる。
連敗をストップさせた今回のレースも前半1000m通過61秒3の超スローの展開だったにもかかわらず、前残りした逃げ馬や2番手追走の馬を豪快に差し切った。この変身が前走からの距離短縮によるものだとしたら、適性外の条件で勝ち切れなかったひとつの理由にもなりそうだ。
勝ち上がったとしてもまだ2勝クラスを卒業したばかりだが、次走でもマイル戦に使われるようなら、これまでとは別馬のような快進撃があっても驚けないはずだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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