JRA C.ルメール“日本脱出”後にとんだ「とばっちり」!? 南関東看板騎手の「禁止行為」発覚で掘り起こされた7年前の“ツイート事件”
6日、川崎競馬場では交流重賞のスパーキングレディーC(G3)が行われ、1番人気ショウナンナデシコが酷量58kgをはねのけ優勝。3月のエンプレス杯(G2)から続く連勝を「4」に伸ばした。
一方、同じ58kgを背負い2番人気に推されたサルサディオーネ(牝8歳、大井・堀千亜樹厩舎)は「クビ+2馬身半」差の3着に敗退。昨年に続く連覇は幻に終わった。
サルサディオーネ陣営にとって大きな誤算だったのは、当日になって生じた鞍上変更だろう。前走まで18戦連続で手綱を取っていた矢野貴之騎手が当日になって騎乗不可となり、テン乗りの森泰斗騎手が代役を務めたのだが……。
「多少気難しい感じはありましたし、初めての騎乗で乗るのが難しかったです」
レース後に森騎手が残したコメントから、乗り慣れた矢野騎手が騎乗していれば少しは違った結果になっていた可能性は否めないだろう。
気になるのは矢野騎手が騎乗できなくなった理由だ。主催者の川崎競馬は、「(矢野騎手が)禁止されている通信機器を騎手控室に持ち込んでいることが確認されたため、公正保持の観点から本日の騎乗を変更いたします」と発表。これを受けて、矢野騎手には10日間の騎乗停止処分が下された。
C.ルメール“日本脱出”後にとんだ「とばっちり」!?
「矢野騎手が調整ルームに持ち込んだ通信機器は、一般的に考えれば、おそらくスマートフォンの類だと思われます。故意だったかどうかはともかく、騎手としてあるまじき行為。10日間の処分で済んだということは、故意ではなかった可能性もあると思いますが、いずれにしても猛省すべき案件ですね。そして、この一件で思わぬとばっちりを受けてしまったのが、現在日本を離れているC.ルメール騎手です」(競馬誌ライター)
遡ること7年前の春、ルメール騎手はM.デムーロ騎手とともにJRAの通年騎手免許を取得。日本での“デビュー”を迎えようとしていた。
ところが、デビュー当日の朝、阪神競馬場には驚きの場内アナウンスが流れた。それがルメール騎手の全鞍乗り替わりだった。
実はレース前日に調整ルームに入ったルメール騎手。外部との接触が禁じられているにもかかわらず、自身の携帯電話でTwitterを利用し、あろうことか2度もツイートしてしまったという。
「ルメール騎手はそれまで何度も短期免許で来日し、日本のルールも熟知していたはずです。にもかかわらず、記念すべきデビューを自らぶち壊す形になってしまいました。『私の不注意でみなさんにご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした』と謝罪はしたものの、丸1か月間にも及ぶ騎乗停止処分を受けてしまいました。
ちなみにデムーロ騎手はデビューした日に阪急杯(G3)を制覇。ライバル2人の明暗がくっきり分かれる形になってしまいました。ルメール騎手にとっては思わぬ船出となってしまいましたが、その後改心したのか、結果で信頼を取り戻したのはご存じの通り。17年から昨年まで5年連続で全国リーディングに輝くなど、名実ともにJRAナンバーワンジョッキーに上り詰めています」(同)
思わぬ形で7年前の“ツイート事件”が掘り起こされてしまったルメール騎手。幸い、現在は欧州に帰国中で、今回の出来事も彼の耳には入っていないかもしれない。
果たして矢野騎手はルメール騎手のように失った信頼を取り戻すことはできるのか。南関東競馬でリーディング2位の看板騎手だけに、今後は騎乗以外でも若手の模範となるような行動をとってもらいたいところだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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