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JRA今年もC.ルメールに巡ってきた国枝栄厩舎の世代No.1、恩師の想いを背に今度こそ「ダービー予約」を現実に?

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コマンドライン

 7月13日に大井競馬場で行われるジャパンダートダービー(G1)。その選定馬が4日に発表となり、JRA所属の出走馬7頭と補欠馬5頭が明らかとなった。

 なかでも注目を集めているのが、今回がダート初挑戦となるコマンドライン(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

 1年前には『netkeiba』のPOG人気馬ランキングと『JRA-VAN POG』の指名馬ランキングで1位に輝いた逸材。デビュー前の段階でC.ルメール騎手から「来年のダービーを予約しておきます」というコメントが飛び出したことでも話題になったが、フタを開けてみると日本ダービー(G1)には出走が叶わず。待っていたのは“砂のダービー”挑戦という誰も予想できない結末であった。

 東の名門がついに牡馬クラシック制覇か。大きな期待を受けながら、残念ながら今年も栄冠には手が届かなかった国枝厩舎。今年4月に67歳を迎えた名伯楽にとって、残されたチャンスは多くない。

 そんな中、今年もコマンドラインと同じように『netkeiba』と『JRA-VAN POG』で注目度二冠に輝いた評判馬がいる。ダノンザタイガー(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

 2020年のセレクトセールで2億7000万円の値が付いたハーツクライ産駒の期待馬。数多くの名馬を手がけた名伯楽も惚れこむ素質の持ち主で、デビュー戦の前には「勝つか負けるかではなく、どう勝つか。余裕のある勝ち方をしてほしい」とまで言わしめた。

 それだけに、6月12日に東京競馬場で行われた新馬戦では単勝1.4倍の支持を集めたが、レースでは出遅れて最後方からの競馬に。ラストは他を圧倒する上がり最速の33秒5を記録して追い込んだが、前で運んだ単勝131.9倍のオンザブロッサムに届かずの2着。国枝師は「これも競馬」と肩を落とした。

C.ルメールに巡ってきた国枝栄厩舎の世代No.1

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C.ルメール騎手

 そんなダノンザタイガーの再始動が、8月13日の新潟に決定。鞍上には新馬戦で手綱を取った川田将雅騎手ではなく、新たにルメール騎手を迎える予定だという。同騎手は8月8日までの海外渡航届を提出して現在は離日中。8月13日が日本帰国の初戦となる見込みだ。

 新馬戦前の自信のコメントを見ても、国枝師としては未勝利戦を使うことはあまり考えていなかったのかもしれないが、この厩舎にとってはこれも吉兆となり得る。

 過去には2009年の天皇賞・春(G1)を勝ったマイネルキッツや、2010年に牝馬三冠を達成したアパパネ、2014年の朝日杯FS(G1)を制したダノンプラチナも、新馬戦では勝利を挙げることができなかった中、2戦目の未勝利戦を勝ってそこからG1馬まで登り詰めた。

 最近で言えば、海外含むG1を9勝したあのアーモンドアイでさえ、新馬戦は2着。昨年の秋華賞(G1)を制したアカイトリノムスメも新馬戦では7着で、昨年の阪神JF(G1)を勝ったサークルオブライフも新馬戦は3着に敗れている。こうして並べてみると、ダノンザタイガーのよもやの敗戦も、むしろ新たな伝説のはじまりとして期待を抱かずにはいられない。

 2日の函館10Rをクライミングリリーで制し、史上15人目となるJRA通算1000勝を達成した国枝師。日本を代表するトップトレーナーはJRAのG1も通算で21勝を挙げているが、上述した通り牡馬クラシックのタイトルとは無縁のままここまで来た。

「1500勝は厳しいけど、ダービーを2つ勝てば藤さんに近づけるかな……」とは、メモリアル達成後に出た言葉。今年2月、歴代2位のJRA通算1570勝で引退した藤沢和雄元調教師への想いを語った際に、ダービーへの強い意識も思わず口をついた。

 今年こそ世代No.1評判馬×ルメール騎手×国枝厩舎で悲願を達成することができるか。まずは次戦で、騎手から2年連続の「ダービー予約」が飛び出すようなパフォーマンスに期待がかかる。

(文=木場七也)

<著者プロフィール>
 29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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