JRA C.ルメール“国外逃亡”で責任回避!? 元ダービー馬候補「有言実行」懸かる背水の陣、大役任されたのは「鬼タックル」食らった因縁の相手
「来年のダービーを予約しておきます」
これはコマンドライン(牡3、美浦・国枝栄厩舎)に対し、デビュー前の最終追い切りに騎乗したC.ルメール騎手が残したコメントだ。
アパパネやアーモンドアイを名馬に育て上げた国枝調教師をして「ケチのつけようがない」と評された期待馬は、デビューから2連勝でサウジアラビアRC(G3)を制覇。下馬評に違わない実力を証明した。
しかし、1番人気に支持された昨年のホープフルS(G1)を12着に大敗してからは、それまでの強さが嘘だったかのような姿である。
3戦連続で手綱を取っていたルメール騎手から岩田望来騎手へ乗り替わった毎日杯(G3)では5番人気まで評価も急落。復活勝利を挙げることが出来たなら再評価の余地もあったのだが、結果は勝ち馬から1秒4も離される惨敗というものだった。
元ダービー馬候補「有言実行」懸かる背水の陣
そこで春のクラシック参戦を諦めた陣営が選択したのは、13日に大井競馬場で開催されるジャパンダートダービー(G1)への挑戦。芝からダートに転戦となるこちらもレース名には「ダービー」が含まれており、もし勝つようならダートの「ダービー馬」という称号は手に入るため、“有言実行”の懸かった背水の陣といったところだろうか。
その一方で、ルメール騎手が騎乗しないのは陣営にとっても懸念材料となる。何しろ6月27日(月曜)から8月8日(月曜)までの間、競馬騎乗のためにフランス及びイギリスに渡航している。ルメール騎手の夏休みは毎年恒例となりつつあるが、そもそも言い出しっぺの張本人がいないのでは、結果的に“責任回避”のような格好だ。
そこで白羽の矢が立ったのは、現在の全国騎手リーディングトップを独走中の川田将雅騎手。ルメール騎手が不在でも大一番を任せる相手としては申し分ない相手といえるだろう。
過去には「鬼タックル」食らった因縁の相手
また、川田騎手とコマンドラインにはちょっとした因縁があることも確か。今春の話題を独占したG1レースにおける1番人気の13連敗という史上初の珍事も、こうして振り返ればコマンドラインが敗れたホープフルSから始まったもの。
このレースでフィデルに騎乗していた川田騎手は、内にいたコマンドラインを外から押し込むような形でブロック。外へと押し返そうとするルメール騎手と激しく馬体をぶつけ合った。互いに“鬼タックル”をやりあうシーンはパトロール映像にもしっかりと残されていた。
「トップジョッキーの川田騎手だけに妥当な人選ですが、因縁の人馬がコンビを組むのは面白そうですね。ホープフルSの川田騎手はコマンドラインにぶつけたその後、内へ潜り込むことに成功して4着に食い込みました。
外を狙ったコマンドラインは最後の直線でも窮屈になるところもあって惨敗しました。騎手2人の選択も影響したレースでしたが、お互いの意地と意地が見え隠れしていて見応えもありましたね」(競馬記者)
今回は敵から味方へと立場が変わる人馬だが、どのようなレースを見せてくれるだろうか。地方交流重賞で無類の好相性を誇る名手の手綱捌きにも注目したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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