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5連勝ディープインパクト産駒「復活のレコード」も散った夢

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 競馬には「無事之名馬」という格言が存在するが、この馬は無事であれば、一体どれほど活躍しただろうか。2018年の中京記念(G3)を制したグレーターロンドンは、多くのファンにそう思わせるだけのスケールを秘めていた。

 母が桜花賞(G1)2着馬のロンドンブリッジというだけでなく、姉にはオークス馬のダイワエルシエーロ。甥に菊花賞馬のキセキがいるなど、デビュー前から注目されていたディープインパクト産駒であり、デビュー戦を単勝1.3倍の人気に応えて完勝した際は「クラシック候補」との声もあった。

 しかし、2戦目を落鉄などの影響で2着に敗れると、ソエの症状でクラシックを棒に振ってしまう。復帰したのは菊花賞(G1)がすでに終わった3歳10月の最終週だった。

 プラス10kgと成長したグレーターロンドンは、このレースで2勝目を挙げたものの、今度は蹄葉炎を発症して約1年間の長期休養を強いられるなど、その後も脚元の慢性的な不安と戦い続ける競走生活送っている。

G1級の大器グレーターロンドンの苦難

 

 だが、陣営の懸命な努力によりカムバックを果たしたグレーターロンドンは、そこから破竹の5連勝。4戦連続上がり3ハロン最速という驚異の末脚を武器に、一気にオープン入りを決めると、5歳春の安田記念(G1)に挑戦した際は「遅れてきた大器」としてメディアや競馬ファンを大いに沸かせた。

 重賞初挑戦がいきなりのG1となったグレーターロンドンだったが、勝ったサトノアラジンとはわずか0.1秒差の4着。連勝は止まってしまったものの2着ロゴタイプ、3着レッドファルクス、5着エアスピネルという当時のトップマイラーたちを相手に堂々の戦いを演じている。

 さらに夏の休養を挟んだ秋の毎日王冠(G2)でもリアルスティール、サトノアラジンと0.2秒差の3着。課題のゲートさえ上手く決まれば、G1制覇も十分と思わせるほどのスケール感だった。

 しかし、満を持して挑んだ天皇賞・秋(G1)は、もはや「田んぼの中のレース」と言われるほどの歴史的な不良馬場だった。

 主戦の田辺裕信騎手が後方から4角先頭に躍り出る強気な競馬を試みたものの、やはり想定外の重い馬場に脚を取られて失速……。最後は9着まで着順を落としてしまった。

 元々、脚元に不安があるグレーターロンドンにとって、このダメージは思いの他大きかったようだ。賞金加算のため確勝を期したディセンバーS(OP)でまさかの敗戦を喫すると、そこから4連敗。一時の充実ぶりが嘘のように、馬券圏内にさえ届かない不振が続いた。

 そんなグレーターロンドンが背水の陣で挑んだのが、2018年の中京記念(G3)だった。

 重賞未勝利にもかかわらず、56.5kgのハンデを背負わされたグレーターロンドンだったが、最後の直線で持ち前の末脚が爆発。上がり3ハロン最速の末脚で差し切ると、レコードタイムで待望の重賞初制覇を飾っている。

「勝てて良かったです。馬は完成形になってきました。あとは大きな舞台での活躍を期待したいですね」

 レース後、そう語った田辺騎手にとっても待ちに待った復活劇だったに違いない。これで賞金加算にも成功し、胸を張って再びG1に挑める態勢が整った――。

 関係者はもちろん、多くのファンも復活した大器による今後の活躍に胸を躍らせたが、グレーターロンドンに再び蹄の不安が降りかかってしまう。秋は京成杯AH(G3)からの始動が予定されていたが、そのまま無念の引退となってしまった。

 あれから4年。種牡馬入りを果たしたグレーターロンドンだが、日本最高の種牡馬ディープインパクトの後継争いはまさに激戦で、重賞1勝馬に終わった本馬にとっては非常に険しい道といえるだろう。

 しかし、その初年度産駒となるロンドンプランがさっそく1勝目を飾るなど、順調なスタートを決めた新種牡馬グレーターロンドン。果たして、今後父の無念を晴らすような仔は出現するのだろうか。志半ばで終わった夢の続きを産駒に託したい。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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