安田隆師「うっかり発言」ダノンザキッドは関屋記念へ
2020年のホープフルS(G1)覇者ダノンザキッド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)が放牧先のノーザンファームしがらきから栗東トレセンに帰厩。8月14日の関屋記念(G3、芝1600m)を目標に調整していくことが分かった。
ダノンザキッドがG3戦に出走すれば、キャリア2戦目の東京スポーツ杯2歳S(当時G3)以来。別定戦の同レースでは58kgを背負うことになるが、秋の大目標になるマイルCS(G1)へ向けて、まずは夏の新潟で目の前の1勝を求めてきたといえるだろう。
デビュー3連勝で2歳王者に輝き、JRA最優秀2歳牡馬にも選ばれたダノンザキッド。その時点では間違いなく世代トップクラスに君臨していた。
ところが、3歳初戦の弥生賞(G2)でタイトルホルダーとシュネルマイスターの後塵を拝すると、皐月賞(G1)はまさかの15着に惨敗。人気を分け合ったエフフォーリアと明暗を分ける形となった。
その後は日本ダービー(G1)直前に骨折が判明。半年間の休養を挟んで、3歳秋はマイル路線に専念し、富士S(G2)4着、マイルCSも3着とまずまずの成績を残した。
4歳となった今年は中山記念(G2)から始動。1番人気に支持されたが、スタートで後手を踏むと、道中のリズムも悪く7着に敗れた。
そして迎えたのが春の大目標、安田記念(G1)。中山記念から一転、7番人気まで評価を落としていたが、川田将雅騎手を背に今度は好スタートを切ると、積極的に位置を取りに行く競馬を見せた。
道中は逃げたホウオウアマゾンをぴったりマークする2番手を追走。長い東京の直線残り400m地点で先頭に立つと、残り100m地点でも先頭のまま。驚異の粘り腰を見せたが、最後は力尽きて6着に敗れた。
掲示板を外したとはいえ、勝ったソングラインとの差は僅か0秒2。差し馬が上位を占めたレースとしては、大健闘といえる内容だった。管理する安田隆師もレース前に自信のコメントを残していたが、実は直前のインタビューでちょっとしたハプニングがあったという。
「栗東坂路で行われた安田記念の1週前追い切りで、ダノンザキッドは自己ベストを大幅に更新する50秒8の超抜時計をマークしました。安田隆師も『動きも良かった』とコメントしていたのですが、『東京スポーツ』がYouTubeに公開した動画に思いもよらぬ師の発言が収められていたんです……」(競馬誌ライター)
それが6月2日に「東スポレースチャンネル」に公開された「【安田記念2022】2頭出し安田隆行調教師に直前インタビュー ダノンザキッド、ダイアトニックの状態は?《東スポ競馬》」という動画内での安田隆師の発言だった。
記者から最終追い切りについて質問を受けた安田隆師は、「1週前に破格の時計を出し、それを考慮して最終追い切りはサッと流す程度」と、直前の調整過程を無難にコメント。ところが、最終追い切りで鞍上に指示を出したか問われた際、安田隆師は「先週やり過ぎて……」とポロッと本音が出てしまったのだ。
安田隆師も失言したことを悟ったのか、すぐさま「あれ、いや、もう」とあからさまに動揺。その様子は動画にもしっかり収められている。
「うっかり本音が出てしまったんでしょうね。騎手時代から実直な性格で知られている人格者ですから。いかにも安田先生らしいインタビューだったと思います。東スポさんも編集してあげれば良かったんですけどね(笑)。
でも冗談抜きで、もし1週前にやり過ぎていなければ、安田記念で馬券圏内はあったかもしれません。G1ではほんの少しの狂いが着順に大きく影響しますから」(同)
ダノンザキッドにとって新潟は初めての舞台。これまでの走りを見る限り、右回りよりも左回りの方がスムーズなのは間違いないだろう。G1ウイナーとして、そして秋のG1を狙う身としては、ローカルのG3ではまず負けることは許されない。
レースまで3週間あるが、直前まで陣営のコメントには注視しておきたいところだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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