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「空気を読まない」ソダシに負の連鎖、油断は時期尚早

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ソダシ 撮影:Ruriko.I

 一部のファンからまるでG1のようといった声も出ている今年の札幌記念(G2)。前評判の高さを裏付けるように、出走を予定しているメンバーには実力馬が揃った。

 既にG1勝ち実績のあるユーバーレーベンやグローリーヴェイズをはじめ、ダービー馬マカヒキも同じ金子真人オーナーの所有馬ということで、函館記念(G3)を勝ったハヤヤッコとともに出走する可能性がある。大阪杯(G1)で注目を集めたジャックドールの参戦も非常に興味深い。

 なかでも早い時期に陣営が目標とするレースに札幌記念を表明したソダシ(牝4、栗東・須貝尚介厩舎)が、おそらく1番人気に支持されることが濃厚だ。デビューから5連勝で昨年の桜花賞(G1)を制したソダシだが、大敗したオークス(G1)からの巻き返しに成功したのが札幌記念。前回は復活勝利を見事に飾ったが、古馬となって連覇に挑む。

 その一方、昨秋のソダシがスランプに陥っていたことは記憶に新しい。札幌記念を勝利たことで、ホッとしたファンも多かっただろうが、その後は秋華賞やダートに矛先を替えたチャンピオンズC、フェブラリーSなどのG1で連戦連敗。ヴィクトリアマイルでも、まだまだ半信半疑だったが、ここでようやく札幌記念以来の勝利を手に入れた。

 そして、レース内容としてもリズムよく先行して2着ファインルージュに2馬身の差をつける完勝。同レースで5着に敗れたソングラインが、牡馬を相手に安田記念(G1)を制したのだから、相乗効果でソダシの評価も上がった。

 見せ場なく敗れていた昨秋に対し、今年の春2戦は3着から1着と復調を感じられる結果。ファンや関係者のソダシに対する“疑惑”も解消し、再び信じてもいい雰囲気が出来上がりつつある。札幌記念は昨年不安視された芝2000mの距離を克服して制したレース。そろそろ安泰ムードといったところか。

ソダシに負の連鎖、油断は時期尚早

 だが、桜花賞以降のソダシに関しては、少々つかみにくいことも確かだ。8着に敗れたオークスは、スタート後に川田将雅騎手のステラリアから執拗に競り掛けられたことでリズムを崩した可能性を捨て切れないものの、秋華賞(G1)やチャンピオンズC(G1)は、マイペースで運んた上での不可解な敗戦。これといった敗因を特定できないまま、前走で復活したことに釈然としない部分もある。

 場合によっては断然の1番人気もあり得る馬だけに、配当的な妙味を考えると疑ってみるのもありだろう。そこで思い当たったのが、白毛の女王が人気を裏切るパターンだ。

 ひとつは、今年の重賞レースにおける1番人気馬の不振である。G1に限定すると昨年暮れのホープフルSから13連敗という深刻さ。また、G1以外でも1番人気の裏切りは顕著であり、WIN5対象レースに絞ると50戦5勝で勝率10.0%という数字となる。勿論、札幌記念も対象レースに含まれる。

 統計的に3回に1回程度の割合で勝つといわれる1番人気としては、相当低い勝率といえる。札幌記念の開催はまだ少し先だが、この傾向に劇的な変化があるかどうかは疑わしい。

 次に見過ごせないのは、過去10年の札幌記念で1番人気に支持された馬が、一度も勝っていない点だ。敗れた面々にはゴールドシップ、モーリス、フィエールマン、ラッキーライラックに昨年のラヴズオンリーユーといずれ劣らぬ名馬たちが名を連ねる。ソダシが1番人気で出走するようなら、これは無視できない傾向だ。

 レース展開で気になるのはジャックドールの存在である。大阪杯こそ崩れたが、デビューから一貫して芝2000mを使われている本馬は、この距離のスペシャリスト。リズムを重視したいソダシにとっては、レース展開を大きく左右する相手といえる。

 どちらも逃げにはこだわらない姿勢を見せてはいるものの、ジャックドールはやはり逃げてこそのタイプ。ローカルの小回りを意識すると、どちらも相手の出方に神経をすり減らす可能性が高い。

 最後にちょっとだけ心配なのは、ソダシ人気が単勝1倍台まで加熱したケースか。実は断然人気になったときのソダシは2回あるのだが、そのどちらも敗れている。ちょうど信頼が最も高くなったタイミングで裏切っているとしたら、今年の札幌記念はまさにそのタイミングに近いとも言えないだろうか。

 はたして「空気を読んでくれるのか」、それともまたしても「空気を読まないのか」、謎の多い白毛のアイドルの走りに注目したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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