海外も注目?大井の怪物候補がダリア賞に殴り込み!
6日に新潟競馬場で行われる2歳限定戦・ダリア賞(OP)。JRA認定競走に勝利した地方馬も出走が可能となるこのレースに、大井から参戦を表明したのがシテイタイケツ(牡2歳、大井・上杉昌宏厩舎)だ。
同馬は6月27日に大井競馬場で行われたダート1400mの新馬戦において、2着に4馬身差をつける快勝。しかし、その結果以上にレースの内容は衝撃的なものだった。
2番枠からスタートは五分に出るも、外の馬たちに挟まれるように馬群に入ると、キックバックを嫌がったのか突然の暴走。鞍上の矢野貴之騎手が思わず馬上で尻もちをつくほど頭を高く上げ、そのまま勢いを失ってしまう。
その後も顔を上げたままで走り続けたが、ハイペースで競り合う先団との差は開いて行く一方。3コーナーに差し掛かるあたりでは約20馬身もの差がついていた。
制御に四苦八苦していた矢野騎手もどうにか馬を促し、4コーナーでは鞭を入れて追い上げようと試みるも、今度はその鞭に過剰な反応を見せ、逸走するかのような勢いで外へ。直線に入り、前で粘り込みを図る2頭のマッチレースにカメラが寄ると、黒い帽子は完全に画角の外へと消えた。
ところが、もう一度カメラが引きの画に戻ると、最後方の大外からものすごい勢いで伸びてくる黒い影が。あっという間に前を行く5頭をごぼう抜きにすると、ゴール板前では手綱を緩める余裕も。上がり2位が40秒5だったのに対し、37秒4という異次元の脚ですべてを飲み込んでしまった。
このレースぶりは大きな話題となり、東京シティ競馬の公式Twitterが投稿したレース映像のツイートは3日現在で30万件に迫る再生数を記録。さらに3600件を超えるリツイートと、7100件を超える「いいね」がついている。
また、この反響は海を超え、アジア・オセアニアの競馬情報を発信するウェブメディア『ASIAN RACING REPORT.com』でもニュースとして取り上げられるまでになった。
「日本の2歳新馬・シテイタイケツが“ありえない”ポジションから勝利」と題し、とにかく動画を見て欲しいと興奮気味に紹介。日本だけでなく、“世界的にバズった新馬”として一躍脚光を浴びた。
大井の怪物候補がダリア賞に殴り込み!
そんな大注目の若駒がキャリア2戦目に選んだのが、JRAの芝の舞台だった。
当然ながら未知の領域となるが、初戦では砂を被ってヒートアップする一面を見せているだけに、その懸念がなくなるというのは前向きに捉えていいポイントだろう。そのようなチグハグなレースでも上がり37秒4の豪脚を繰り出すことができるのだから、芝替りはむしろ楽しみの方が大きい。
特に先週開幕した夏の新潟開催では、走破時計も上がり3ハロンも好タイムが連発中。7月30日の5Rに行われた2歳新馬では、リバティアイランドが上がり31秒4という驚異的な末脚を見せたのが記憶に新しい。そんな高速馬場でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待は膨らむ。
また、芝の適性については走ってみなければ分からないものの、父バゴ×母父ステイゴールドといえば、クリスマスやブラックバゴといったJRAのオープン馬を輩出している掛け合わせ。血統面も頼もしい材料となる。
一方で、不安要素を挙げるとするならば、まずは新潟までの長距離輸送は乗り越えなければならない壁のひとつとなる。加えて初の左回りということにもなり、脚元以外の環境の変化も大きく、精神面への影響というのは心配な部分だ。
さらに、今回は新馬戦で手綱を取った矢野騎手が8月13日まで騎乗自粛中ということもあり、森泰斗騎手との新コンビで参戦することになった。
地方のトップジョッキーで手腕には不安はないが、あの暴れん坊ぶりを見てしまうと、やはりレースでの騎乗経験がないというのは不安点となるだろう。
それでも、このダリア賞で2着以内に入ることができれば、8月28日に行われる新潟2歳S(G3)への出走権を得ることができる。
地方所属馬によるJRAの芝重賞制覇は、2016年の札幌2歳S(G3)を勝ったトラストが最後。当時は川崎の所属で、後にJRAへと移籍して障害レースで4勝を挙げるなど活躍した。
6年ぶりの快挙へ、まずはその挑戦権を掴むことができるか。世界を驚かせた大井の新星・シテイタイケツに注目だ。
(文=木場七也)
<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。
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