ハルウララ現象再び!? 高知競馬に大観衆の理由
今から19年ほど前、高知競馬には1頭の“スターホース”が所属していた。それがハルウララである。通算成績は113戦113敗と競走馬としては、決して褒められた成績ではないのだが、不思議なことに“勝てない”ことが大きな話題を呼び、気づけばハルウララの名は全国区になっていた。
ハルウララ現象再び!?
ハルウララ人気は社会現象となり、その姿を一目見ようと当時の高知競馬には連日のようにファンやマスコミが詰めかけた。交流重賞への参戦の折に武豊騎手がハルウララに騎乗した際には、ものすごい数の観衆が押し寄せて馬券売り場が数時間待ちの状態だったとも言われている。
そして今年7月30日の高知競馬場。この日は重賞レース等が無いにもかかわらず、当時の「ハルウララ現象」を思い起こすように早朝から長蛇の列ができていた。当日は生憎の雨模様、更に第1レースは14:55の発走であったのだが、いったいなぜだろうか。
実はこの日の高知競馬は大人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)とのコラボイベントを開催。このイベントでは先着2000名にウマ娘・ハルウララを描いたうちわがプレゼントされるということで、それを目当てに大勢のファンが早朝から押し寄せた訳だ。
イベントではそのほかにも限定グッズの販売やキャラクターの等身大パネルの設置、出演声優のトークショーといった『ウマ娘』ファンには嬉しい企画が数多く行われ、いずれも大盛況であった模様。SNSには入場前の長蛇の列や、超満員となったスタンドの様子を写した写真や、高知競馬場の名物「アイスクリン」を楽しむファンの姿も多くアップされていた。
特に大きなレースも無い日の高知競馬場に大観衆が押し寄せたことを考えれば、『ウマ娘』の影響力の大きさが伺える。これだけの集客があれば、馬券の売り上げや関連施設の売り上げも好調であったに違いない。詳しい数字などは公開されていないが、イベントは大成功であったと関係者も考えているはずだ。
以前にはオグリキャップを産んだ笠松競馬場でも同様のイベントが行われており、その際にも多くのファンが現地へと詰めかけて話題となっていた。オグリキャップやハルウララといった過去の名馬がフォーカスされ、それによって地方競馬も盛り上がるというのは我々競馬ファンにとっても嬉しい限りである。
19年前のハルウララ現象さながらに、今度は『ウマ娘』に姿を変えたハルウララによって大きな盛り上がりを見せた高知競馬場。先日は現役馬・デアリングタクトが”ウマ娘化”されるなど、リリースから1年半が経っても様々な話題を提供している『ウマ娘』。今後も様々な形で、競馬界を盛り上げてくれるはずだ。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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