
JRAレパードS、いずれドバイも制覇?将来のダート王候補

今週のJRAはエルムS(G3)とレパードS(G3)という2つのダート重賞が行われる。
中でもレパードSには未来の日本ダート界を担うであろう逸材が揃った。ハピ、ホウオウルーレット、タイセイドレフォン、カフジオクタゴン、ヘラルドバローズ、ラブパイロー、シダー、レッドラパルマなど、どの馬が勝ってもおかしくないハイレベルな一戦だ。
そしてこの中には、いずれ日本を飛び出しドバイワールドC(G1)を制するのではないかと期待している馬がいる。それがホウオウルーレットだ。
同馬は兄がオメガパフュームという良血馬。同馬は東京大賞典(G1)4連覇を達成するなど日本ダート界を牽引する実力馬であり、年末には東京大賞典の5連覇もかかっている。
そんなオメガパフュームを兄に持つホウオウルーレットは、昨年12月のデビュー戦を2着に1.1秒差、2戦目の黒竹賞(1勝クラス)も2着に1.0秒差で圧勝。そして前走のいわき特別(2勝クラス)も2着に0.9秒差で勝利し、ダートでは無限の可能性を感じさせている。
しかも陣営の話ではまだまだ未完成とのことなので、本格化した暁にはどれほどの強者となっているか興味深い。100%の完成度にないにしても、これまでの勝ちっぷりや相手関係からも、ここは重賞初制覇のチャンスとみていいだろう。
同馬にドバイへ向けて大きな可能性を感じる理由はいくつかある。
2005年ドバイワールドCを勝利した父ロージズインメイ
まずは前述の通り底なしのダート適性、そして父がロージズインメイという血統だ。日本から地方在籍のアジュディミツオーが参戦、6着に善戦して話題となった2005年のドバイワールドカップを勝利したのがロージズインメイ。実際にドバイワールドCを制した父の血を引くのだから、関係者もドバイを意識するのは当然だろう。
これまで誕生したロージズインメイ産駒で、ドバイ制覇を意識できるような馬はそう多くなかった。だがホウオウルーレットは、それをさせるに十分な可能性を感じる。
またホウオウルーレットの母オメガフレグランスの父ゴールドアリュールは、2003年のドバイワールドCに遠征が決まりながらも、イラク戦争の影響でドバイへ渡航できず、回避せざるを得なかったという無念の経緯がある。
そんな母の父ゴールドアリュールの無念、そして父ロージズインメイの血を引くホウオウルーレット。まさにドバイで活躍することが宿命付けられた存在と言えるだろう。
さらにロージズインメイを購入して日本に導入したのは、ホウオウルーレットを生産した岡田スタッド代表岡田牧雄氏の兄である故岡田繁幸氏。岡田スタッドの生産馬タイトルホルダーが凱旋門賞(G1)に挑戦することを考えると、ホウオウルーレットのドバイ遠征にも強い気持ちがあるはずだ。
実際に、今年3月にドバイで行われたUAEダービー(G2)にも、ホウオウルーレットは予備登録を行っていた。最終的にレースは回避したが、その時点で関係者はドバイを意識していた。さらに今回、ホウオウルーレットは関西のトップジョッキー福永祐一騎手が騎乗する。今回だけの騎乗なのか、今後を見据えてのものなのかはわからないが、これも将来的なドバイ遠征を視野に入れた騎乗依頼の可能性がある。
さらに同馬のオーナーである小笹芳央氏の実弟小笹公也氏は、ダート王テーオーケインズを所有し、今年2月にはサウジカップ(G1)に挑戦。そういった影響を受けているだけでなく、芳央氏も海外挑戦に前向きなコメントを残していることからも、チャンスがあればぜひドバイに遠征したいと考えていると思われる。
以上の状況を踏まえると、本格化したホウオウルーレットが将来ドバイを目指し、そして栄光のゴール板を駆け抜けるシーンも想像できるのだ。
とはいえホウオウルーレットが将来ドバイワールドCを目指すには、このレパードSだけでなく、さらなるビッグタイトルの獲得が必要。兄オメガパフュームが7歳になっても一線級で活躍しているように、同馬もまた息の長い活躍が期待できるであろう。
来年は間に合わないかもしれないが、ドバイワールドCを目指し着実に実績を積み上げて欲しい。まずは最初の一歩として、このレパードSでしっかりと勝利を手にして欲しいものだ。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。
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