
屈辱の過怠金デビューから「掌返し」C.ホーが見せた適応能力
7日、新潟競馬場で行われたレパードS(G3)は、7番人気のカフジオクタゴン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が勝利。これが重賞初挑戦だったが、2連勝で嬉しい初制覇を果たした。
「今回乗せていただいた関係者の皆様へ感謝しています」
現役時代は香港マイル、香港C(いずれもG1)制覇と、日本だけでなく香港でもその名を轟かせたモーリスにとって、これがダート重賞初制覇。日本が誇る最強マイラーに新たな勲章をもたらしたのは、昨年香港マイルを連覇したゴールデンシックスティの主戦C.ホー騎手だった。
7番人気の伏兵だっただけにレース後には「追い切りでは少し太い感じだったけど、今日の返し馬ではしっかりして別馬のようでした」「矢作厩舎の皆さんに素晴らしい状態に仕上げていただいて感謝しています。矢作厩舎を称えたい」と陣営の手腕を称賛。
矢作厩舎とホー騎手といえば、日本の競馬ファンにその名を轟かせた昨年のラヴズオンリーユーの騎乗が記憶に新しい。日香を代表する名コンビがクイーンエリザベス2世C(G1)に続く、ビッグタイトルを呼び込んだ。
香港の名手が見せた適応能力
「ダートよりも、芝の方が好きです」
先月30日のことだ。この日、来日初騎乗となったホー騎手は最終レースで日本初勝利。レース後には記念のインタビューも行われたが、香港の名手の率直な感想が印象的だった。
それもそのはず。この日7鞍に騎乗したホー騎手だったが、ダートのレースは15着、7着、12着、10着と散々な結果……。来日初騎乗となった2Rでは、コーナーを曲がり切れずに斜行してしまい過怠金処分を受けている。
香港は芝とオールウェザーが主流で、百戦錬磨のホー騎手も「ダートは他国と比べても砂が深かったですね」と日本のダートに戸惑いを見せていた。
あの“ホロ苦デビュー”からわずか1週間、香港のトップジョッキーが適応能力の高さを見せつけた。
このレパードSはホー騎手にとって日本のダート7戦目だったが、大外の8枠15番からスムーズに内へ潜り込んだ騎乗は、まさにクレバーの一言。砂被りをものともせずに最終コーナーを最短コースで回ると、最後の直線では再び外に持ち出されて突き抜けた。
「先週『ダートは好きではない』と言ったのですが、日本での2勝目がダートの重賞になったので、ダートが好きになりました(笑)」
レース後の勝利騎手インタビューで“掌返し”を見せて笑いを誘ったホー騎手。今回の短期免許はワールドオールスタージョッキーズが行われる27・28日の週までの予定だが、さっそく日本の競馬ファンにその存在を印象付けたに違いない。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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