“反則スレスレ”の強烈タックルに泣いた「暴君」オルフェーヴル、弾き返した「不沈艦」ゴールドシップ。約10年の時を経てオールカマー(G2)で激突する「因縁」の名馬の血
25日に行われるオールカマー(G2)、最大の注目はやはり奇跡の復活を遂げた三冠牝馬・デアリングタクトであろう。だがその陰に隠れて三冠牝馬・ジェンティルドンナの娘であるジェラルディーナ(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)も出走する。
ジェンティルドンナといえば、牝馬三冠の達成に加えてジャパンC(G1)の連覇、ドバイシーマC(G1)、有馬記念(G1)などG1・7勝を挙げた歴史的な名牝である。そんな“貴婦人”の娘が現役の三冠牝馬・デアリングタクトと激突するというのは、競馬ならではのロマンと言えるだろう。
オールカマーで激突する「因縁」の名馬の血
その一方で、このジェラルディーナと世代を超えた「因縁」を持つ馬が2頭、オールカマーにエントリーをしている。それがソーヴァリアントとウインキートスだ。
ソーヴァリアントの父・オルフェーヴルとジェンティルドンナは深い「因縁」を持つ間柄といえるが、その発端となったのが12年のジャパンCである。
このレースはかつて3度にわたり激突したシンボリルドルフ、ミスターシービー以来となる、史上2例目となる三冠馬同士のマッチアップということで戦前から大きな話題を呼んでいた。2頭の三冠馬は共にその注目に応えるように、最後の直線で競り合いながらコースの内を突いて上がってくる。
残り200mで後続を突き放し、前で失速したビートブラックを2頭がかわそうとした際にアクシデントが起きた。
最内に位置していたジェンティルドンナはオルフェーヴルとビートブラックに塞がれる形となったのだが、横へ持ち出し進路を確保しようとした際にオルフェーヴルと接触。結果的にはオルフェーヴルを弾き飛ばし進路をこじ開けた形となってしまった。
最後はハナ差でジェンティルドンナが先着したが、この馬体の接触は当然ながら審議の対象に。しかし20分の審議の末に結果は覆らず。ジェンティルドンナ手綱を握っていた岩田康誠騎手は「進路の取り方が強引だった」として2日間の騎乗停止処分を受けたが、着順が覆る程の不利とはみなされなかったようだ。
この結果にはファンはもちろん、オルフェーヴル陣営からも苦言が呈されるなど大きな波紋を呼んだ。注目を浴びた世紀の1戦であったが、遺恨が残る結末となってしまった。
後味が悪いレースになったとはいえ、三冠馬も屈する程の力強い走りで栄冠を掴んだジェンティルドンナ。だが一方で、直接対決でジェンティルドンナを凌駕するパワフルな走りを見せつけたのがウインキートスの父・ゴールドシップであった。
同期の三冠牝馬と2冠馬の初対決となった13年の宝塚記念(G1)。この日は珍しく先団につけたゴールドシップは、ジェンティルドンナと併せる形で4角を回っていく。
最後の直線に入り、馬場の荒れた内につけたジェンティルドンナは進路を外に取ろうとした際にゴールドシップと接触した。しかしゴールドシップはそれをモノともせずに、逆に弾き返して進路をキープ。これにより内に閉じ込められたジェンティルドンナは伸びを欠いて3着に敗れ、それを尻目にゴールドシップは物凄い加速を見せて勝利を収めた。
三冠牝馬・ジェンティルドンナの牡馬顔負けのパワーに屈したオルフェーヴルと、それを全く問題にしなかったゴールドシップ。今年のオールカマーではこの「暴君」と「不沈艦」の血を引く2頭が、因縁ある「貴婦人」の娘と激突する。
三冠牝馬の娘ジェラルディーナと現役の牝馬三冠馬デアリングタクトの対決はもちろんだが、この因縁ある名馬たちの血を引いた3頭の激突にも注目したい。
PICK UP
Ranking
11:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
- 【宝塚記念】今年のグランプリは「超ハイレベル」の一戦?リバティアイランド、ドウデュースら「最強メンバー」が激突も
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【日本ダービー】「芝未勝利馬」の参戦視野に懐疑的な声? 無傷の4連勝でダービー挑戦も「シンガリ」に敗れたサクセスブロッケンの記憶
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 天皇賞・秋の注目馬も激白! 秋葉原オタクカルチャーの代表選手・桃井はるこが競馬の魅力を語り尽くす!(後編)
- 「競馬愛」が溢れすぎ! 秋葉原オタクカルチャーの代表選手・桃井はるこが競馬の魅力を語り尽くす!(前編)
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 【NHKマイルC】ファンの興味は「15番枠」が1番人気?固唾をのんで待つ運命の枠順発表…ただの偶然で済まされない「幸運」を手にするのはどの馬か
関連記事
JRAドウデュース敗戦も終わってみれば「想定内」の手のひら返し!? 陣営の思惑に勝利の秘策あり、オールカマー(G2)デアリングタクトも安心できない舞台裏
デアリングタクト陣営“異例の決断”は自信の表れ?「エピファネイア早熟説」からの抜け道も
JRA池添謙一「嘆き」の大波乱演出も後の祭り!? 1万票に1票、突破率約0.01%の「勝ち組」になるためには
ナリタブライアン、サクラローレルらと渡り合った馬が「不治の病」から奇跡のカムバック!JRAオールカマー史に残る「涙の復活劇」
JRAオールカマー(G2)デアリングタクトの調教師が気になる発言、上位人気馬に不安説続々…関係者が語った「出るからには万全」の建前と本音