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JRA M.デムーロ「襲来」を乗り越えてエースの座。関係者も噂する「勝ち切れなかった男」が怒涛の3連勝でキャリアハイ驀進中

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M.デムーロ騎手

 25日、中山競馬場で行われた3Rの2歳未勝利は、3番人気のマイネルカンパーナ(牡2歳、美浦・青木孝文厩舎)が勝利。最後の直線で鋭く抜け出すと、ユイノオトコヤマの猛追をアタマ差しのぎ切った。

「競馬を教えながら勝てたことはすごくよかったです」

 またまた「丹内」だ。鞍上の丹内祐次騎手は、これでこの日3勝目。1Rから3Rまで怒涛の3連勝で、その存在を大きくアピールした。

 2004年のデビュー以降、競馬ファンの間でも「関東の中堅騎手」として定着している感のある丹内騎手。G1などの大舞台ではあまり見かけないが、ローカル競馬の有力ジョッキーとして、馬券でお世話になったファンも少なくないのではないだろうか。

 だが、騎手19年目を迎えた今年は、そのイメージが大きく変わるのかもしれない。

 この日の3連勝で勝ち星を60勝とした丹内騎手は、現在キャリアハイを驀進中だ。先月に通算400勝を達成し、現在通算は416勝。つまり、その約1/7をこの10か月弱で稼いでいるのだから、如何に“確変モード”に突入しているのかがわかるだろう。

 ちなみに、これまでのキャリアハイは昨年の38勝。今年の活躍には現場の関係者の間でも、ちょっとした噂になっているという。

38勝2着66回3着67回「勝ち切れない騎手」の大変身

「通算でも416勝に対して、2着の数が582回と良くも悪くも勝ち切れない印象があった丹内騎手。昨年も38勝でキャリアハイを更新したといえば聞こえはいいですが、2着が66回、3着も67回あり、課題は明らかでした。

ですが、今年は現在60勝に対して2着が67回と拮抗した結果になっています。最近は騎乗馬の質が上がっている印象ですし、その分勝ちに行くことを強く意識した競馬が増えています。

結果を残すことで、より良い馬に乗る機会も増え、さらに結果を残せるというのが騎手という職業。丹内騎手は今、非常にいいサイクルの中にいると思います」(競馬記者)

 記者曰く「特に今年のバックアップが顕著」なのが『マイネル軍団』の中枢となるサラブレッドクラブ・ラフィアンだという。

 冒頭の中山3Rを勝ったマイネルカンパーナもラフィアンの所属馬だが、丹内騎手はこれで今年23勝目。全体60勝の内、半数近い割合を占めている。騎乗回数こそ昨年の149回から、今年131回と大きな変化があったわけではないが、勝ち星自体は昨年7勝から大きくジャンプアップ。その蜜月関係が、さらに強化されていることは明らかだ。

「ラフィアンの馬質が上がっていることは確かですが、丹内騎手の努力や姿勢が結果に結びついていることは見逃せません。それを顕著に表しているのが単勝回収率で、昨年の54%から今年は138%と大幅に増加。複勝回収率も100%を超えているので、今は『丹内×ラフィアン』を買い続けるだけで儲かるという好調ぶりです。

マイネル軍団といえば、昔から特定の騎手を重宝する傾向が強いことで知られていますが、今やラフィアンのエースは丹内騎手だと思いますね」(同)

 ラフィアンは以前から丹内騎手の他に、柴田大知騎手などにも多くのチャンスを与えているが、昨年はM.デムーロ騎手を積極的に起用し始めたことが話題になった。

 これまでほぼ接点のなかった両者だが、昨年はデムーロ騎手が主戦を務めるユーバーレーベンがオークス(G1)を制覇。同年3月に他界したマイネル軍団の総帥・岡田繁幸さんへ捧げる勝利として、多くのファンの感動を呼んだことでも有名だ。

 その後もマイネルファンロンで新潟記念(G3)を勝つなど、デムーロ騎手がマイネル軍団の新エースとして注目を集めた。一方で、長く主戦を務める丹内騎手と柴田大騎手にとっては、決して黙認できない危機であったことは想像に難しくない。

「昨年、ユーバーレーベンなどの活躍で注目を集めたデムーロ騎手とラフィアンのコンビですが、今年はここまでわずか2勝と低調な結果に終わっています。重賞でもユーバーレーベンが2月の京都記念(G2)で1番人気を裏切ってしまうなど、ここまで未勝利。両者の関係もじょじょに冷え込んでいる印象です。

また、丹内騎手と2人でマイネル軍団の両輪を担っている柴田大騎手は、このところラフィアンよりもビッグレッドファーム所有馬の騎乗が増えていますね。完全な“分業”になったわけではありませんが、柴田大騎手がビッグレッド、丹内騎手がラフィアンといったイメージです」(同)

「大した先輩じゃないのに……」

 丹内騎手がそう謙遜したのは先月、JRA通算400勝を達成したインタビューだ。地元の札幌で迎えたメモリアルだったが、大勢の後輩騎手が駆けつけ「うれしい」と満面の笑みだった。

 今年、ラフィアンの所属馬に騎乗した際の勝率17.6%、3着以内率40.5%は、トップジョッキーの福永祐一騎手の同17.5%、42.4%に匹敵する。中堅からトップと呼ばれる存在へ、デビュー19年目のベテランが殻を破ろうとしている。

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