
「ここまで走るとは」コントレイル調教師も驚きの快勝劇にクラシック候補誕生の予感

昨年、引退レースとなったジャパンC(G1)で有終の美を飾ったコントレイル。父ディープインパクトと同様に、無敗のままクラシック3冠を達成した紛れもない名馬だ。
そのコントレイルを育て上げたのが、西の名門・矢作芳人厩舎である。
2004年に開業した矢作厩舎は、過去に全国リーディングを3度も獲得している言わずと知れたトップステーブル。これまでグランプリボス、ディープブリランテ、リスグラシュー、ラヴズオンリーユーなど数々のG1馬を輩出してきた。
昨年は日本馬初となるブリーダーズカップ制覇を成し遂げ、今や世界的にも知名度は鰻登り。今年もパンサラッサでドバイターフ(G1)を制するなど、海外でもその勢いは止まる事を知らない。
だが、そんな矢作厩舎でも2年前にコントレイルで3冠を達成して以降は、クラシックに有力馬を送り込めていない。
昨年、今年と寂しい結果となってしまった矢作厩舎
昨年は、バスラットレオンで日本ダービー(G1)に出走したのみ。他に期待が大きかった存在といえば、ルージュバックやポタジェの弟としてセレクトセールで3億円の値が付いたテンカハルがいたものの、こちらはホープフルS(G1)6着、青葉賞(G2)12着と結果を出せず、クラシック出走は叶わなかった。
また現3歳世代においても、コントレイルの弟サンセットクラウド、4億円ホースのダノンマイソウルなどデビュー前から期待の大きかった逸材がいずれも大苦戦。両馬とも今夏にようやく初勝利を挙げるのが精一杯で春2冠は間に合わず、前者は最後の望みを懸けて先月の神戸新聞杯(G2)に挑むも13着に敗れている。
さらに、リアルスティールやラヴズオンリーユーの弟にあたる良血ディーンズリスターはデビューが遅れ、初出走となった5月の未勝利戦を勝利したものの、次戦の1勝クラスでは10着と大敗。現時点で最後の一冠・菊花賞(G1)に送り込めそうな管理馬はなく、今年のクラシック出走は0頭のまま終わりそうだ。
近年は上述したコントレイルをはじめ、毎年のようにクラシックを賑わせてきた厩舎だが昨年、今年と寂しい結果となってしまった。現2歳世代には来年に向け、より大きな期待がかかっている。
そんな矢作厩舎に、来年のクラシック制覇へ向け大物候補が現れた。それが、8日の2歳新馬を勝利したタイセイクラージュ(牡2)である。
発走前にはゲート入りをやや渋る場面もあったが、スタートを決めると直線では抜群の伸びを披露。幼さが残る中での快勝劇に、レース後には手綱を取った横山武史騎手が「頑固だった。まだ仕上がり途上。それでも勝ったんだから」と話せば、管理する矢作師も「ここまで走るとは思いませんでした」と、どちらも底知れぬ能力に驚きを隠せなかったようだ。
また勝ちタイム1分47秒0は、ここ30年を振り返っても、東京・芝1800mで行われた新馬戦では最速の時計。2位(1分47秒2)のサリエラは先月のローズS(G2)で2着、3位(1分47秒6)のカイザーバローズも5月の新潟大賞典(G3)で2着しているように、タイセイクラージュにはすでに重賞級の実力すら窺える。
「楽しみな素材ですし、ゆっくりと育てていきたい」
レース後、デビュー勝ちを決めたタイセイクラージュにそう期待を寄せた矢作師。名門にコントレイル以来のクラシック制覇をもたらすのは、この馬かもしれない。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆