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パンサラッサ「ダイワスカーレットの呪縛」に屈す!? 武豊メジロマックイーンも涙した「ルドルフの呪い」を破ったハルウララの父の快挙から35年

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 30日に東京競馬場で行われた天皇賞・秋(G1)は、1番人気のイクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)がファンの期待に応えて勝利。C.ルメール騎手が「彼の最初のG1になったけど、これが最後じゃない」と力強く語るなど、新時代の幕開けを高らかに宣言する快勝劇だった。

 それにしても、天皇賞・秋は「1番人気」が強いレースになった。

 2000年に史上初のグランドスラムを成し遂げたテイエムオペラオーが勝利して以来、22年間で実に12勝。特にここ8年では6勝と、わずか2回しか負けていない、JRAの数あるG1の中でも屈指の1番人気が強いレースと言えるだろう。

 オールドファンの記憶にはあるかもしれないが、かつての天皇賞・秋は1番人気馬にとって鬼門のレースだった。何せ、1980、90年代の20年間でたった2勝しかしていないのだ。

 この“珍現象”には当時様々な原因が推測されたが、中には「シンボリルドルフの呪い」という都市伝説もあったほどだ。

 1985年当時、前年に史上初の無敗三冠を達成するなど、まさに無敵を誇った「皇帝」シンボリルドルフだが、天皇賞・秋では単勝1.4倍の大本命に推されながら伏兵ギャロップダイナに足をすくわれる、まさかの2着……。レース後、悔しさからか馬房で涙を流したのは有名なエピソードだ。

 その後、2000年に史上初のグランドスラムを成し遂げ「世紀末覇王」と称されたテイエムオペラオーが“ルドルフ呪縛”を解き放つまで、天皇賞・秋では悉く1番人気が敗戦。

 中には武豊騎乗のメジロマックイーンが1位抽選を果たしながらも降着の憂き目に遭う不運などもあり、当時の競馬ファンの間では「秋の府中には魔物が棲んでいる」「皇帝の呪い」などということが、まことしやかに囁かれていたというわけだ。

「ルドルフの呪い」を破った快挙

 そんな中、「シンボリルドルフの呪い」をものともせず1番人気に応えた馬がいる。1987年の覇者ニッポーテイオーだ。

 あまり馴染みのない馬かもしれないが『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)で改めて注目されたハルウララの父でもあるニッポーテイオーは、同年のマイルCS(G1)と翌年の安田記念(G1)も勝つなど、当時の最強マイラーだった。

 その強さは、タイキシャトルやモーリスといった超S級マイラーと比較しても遜色ないほど。3歳のニュージーランドT(当時G3)で初重賞を飾ってから14戦して、連対を外したのは毎日王冠(G2)の3着だけである。

 そんなニッポーテイオーの天皇賞・秋の勝利には、未だ破られていないジンクスがある。それこそが同レースの「逃げ切り勝ち」だ。

 ニッポーテイオーが逃げ切った1987年以降、今年で35回の天皇賞・秋が行われたが、未だ府中の長い直線をしのぎ切った馬はいない。優勝馬としては1991年のプレクラスニーが逃げていたが、これは先述したメジロマックイーンの降着による繰り上がり優勝だ。

 おそらくは2008年のダイワスカーレットが最も迫った存在だったはずだが、最後の最後で生涯のライバル・ウオッカに差されてしまった。ウオッカの角居勝彦調教師が「死刑判決を持つ心境」とまで語った長い写真判定は、今でもファンの間で語り草になっている。

 今年、逃げ粘りに粘って2着に敗れたパンサラッサは、そんなあまりにも高い壁に挑戦していたことになる。1番人気が毎年1頭なら、レースでハナを切る馬も毎年1頭。そういった意味では「シンボリルドルフの呪い」を超えるジンクスかもしれない。

 パンサラッサは今後、12月の香港C(G1)に挑むそうだ。来年、一回り成長して再び天皇賞・秋で豪快な逃げを見せてくれることを楽しみにしている。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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