
【東京スポーツ杯2歳S(G2)展望】8馬身ハーツコンチェルトVS 5馬身フェイト!
果たして、今年は未来のG1馬が何頭出るか。
過去5年だけでもワグネリアン、コントレイル、ダノンザキッド、タイトルホルダー、イクイノックスという5頭ものG1馬を輩出している東京スポーツ杯2歳S(G2)が、今年もマイルCS(G1)前日の19日に東京競馬場で開催される。
昨年からG2に格上げされた2歳戦随一の出世レースに、今年も素質馬が大挙出走してくる。まずハーツコンチェルト(牡2歳、美浦・武井亮厩舎)を取り上げたい。
デビューは9月の中京・芝2000m。レース序盤は後方に待機していたが、スローペースを見越して向正面で早めに動いて先行集団に取り付くと、メンバー最速となる33秒9の末脚を駆使し、2着に8馬身差をつける圧勝劇を飾った。
その着差もさることながら、驚かされたのが上がり3ハロンタイム。同2位のアルナージェインに比べるとなんと1秒6も速かった。まさに異次元の走りで、すでに来年のクラシック有力候補の呼び声すら聞こえている。
陣営はデビュー戦後にすぐに目標をここに設定。放牧先のノーザンファーム天栄で「軽い挫跖の様な症状が出た」というが、その後は順調に調整が続けられてきた。先月下旬には美浦に帰厩。2週前追い切り時には若干の重さも残っていたようだが、9日の1週前追い切りで一変したという。
ハーツコンチェルトを所有する『グリーンファーム』によると、1週前追い切りを確認した武井師は「最後はもの凄い手応えで引っ張ったままでゴールしていきました」と美浦坂路で披露した動きに驚愕した様子。文句なしの出来で試金石の2戦目を迎えることになるだろう。グリーンファームが破格の一口24万円(総額4800万円)で募集した世代一の期待馬は勝ってクラシックに名乗りを上げられるか。
ハーツコンチェルトにも負けない衝撃のデビューVを飾ったのが、フェイト(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
こちらは新種牡馬リアルスティールの初年度産駒で、『ウマ娘』オーナー藤田晋氏の世代エース候補でもある。8月の新潟2歳新馬(芝1800m)で単勝1.5倍の断然人気に推されると、中団5番手から直線力強く末脚を伸ばして差し切り勝ち。最後は2着に5馬身差をつけ、力の差を見せつけた。
レース後には福永祐一騎手も「じっくり育てていけば、クラシック戦線に乗せて行けるなと思います」と語っており、来春を見据える上で最低でも賞金加算はしておきたいところだ。
矢作厩舎×福永騎手のコンビは3年前に当レースを制したコントレイルと同じ。のちに無敗の三冠馬に輝いた令和の名馬だが、福永騎手が唯一鞍上を譲ったのがこのレースだった(R.ムーア騎手が騎乗)。
また福永騎手は父リアルスティールの主戦も務め、デビュー2戦目で共同通信杯(G3)勝利に導いている。偉大な先人たちと同じようにデビュー2戦目であっさり勝ち切ることはできるかに注目だ。
ハーツコンチェルト、フェイトとともに3強を形成する可能性があるのはダノンザタイガー(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)である。
20年の当歳セレクトセールにて2億9700万円(税込)の高額で取り引きされたハーツクライ産駒で、6月東京の2歳新馬(芝1800m)でデビュー。単勝1.4倍の1番人気に推されたが、スタートで遅れてしまい2着に敗れた。
確勝を期した2戦目は8月の新潟2歳未勝利(芝1800m)。デビュー戦から一転、この時は好発を決めて中団前目でレースを進めると、直線楽々と抜け出して勝ち上がった。
2戦連続で上がり最速をマークしているように、この馬の持ち味も終いの切れ脚。3頭の中では唯一、東京コースを経験している点も味方につけて、2頭をまとめて差し切っても不思議はない。
テンカノギジン(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)は9月の新潟で行われた2歳新馬を勝利。相手が一気に強化される今回は試金石となる。
ドゥラエレーデ(牡2歳、栗東・池添学厩舎)は、父ドゥラメンテ、母父オルフェーヴル、伯父にサトノダイヤモンドがいる注目の血統馬。ダート替わりのデビュー3戦目で勝ち上がったが、2走前は後に札幌2歳S(G3)を制したドゥーラの2着に入っており、芝でも十分通用する。
この他には、デビュー戦の直線で12頭をごぼう抜きしたガストリック(牡2歳、美浦・上原博之厩舎)、萩S(L)で1番人気に支持されるも出遅れが響き4着に敗れたタイセイクラージュ(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)、D.レーン騎手を鞍上に配して勝負気配が漂うジョウショーホープ(牡2歳、栗東・新谷功一厩舎)など将来性豊かな馬がそろった。
今年も年末の2歳G1だけでなく、来年のクラシックの勢力図を占う上でも非常に重要な一戦になるだろう。東京スポーツ杯2歳Sは、19日の15時30分に発走を予定している。
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