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「女王陥落」デアリングタクトに限界説も…らしさ失くした連敗に遠のく復活

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デアリングタクト

 当日の大雨により、重馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)を制したのは、直線外から突き抜けたC.デムーロ騎手とジェラルディーナのコンビ。悪化した馬場に苦しんだ内枠のライバルに対し、8枠18番の大外枠に入ったことも結果的にプラスとなった。

 馬場のいい外目を追走し、道中の消耗を避けた鞍上の好判断も光る。早過ぎず遅過ぎずの絶妙なタイミングで抜け出すと、2着ウインマリリンに1馬身3/4の差をつけてゴールを駆け抜けた。

 今回が初騎乗のC.デムーロ騎手に導かれたジェラルディーナに対し、悲壮ともいえる覚悟で大一番に挑んでいたのは、2年前に史上初となる無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクト(牝5、栗東・杉山晴紀厩舎)と松山弘平騎手のコンビだ。

 18頭立て、芝2200mのレースを中団につけて最後の直線を迎えたものの、好調時に見せた豪脚を見せることなく6着での入線。女王完全復活とはならなかった。

「スタートが良く、しっかりポジションを取ることが出来ました。馬はよく頑張って、いいレースをしてくれました。勝ち馬は大外枠でしたし、外枠の馬が上位に来る中で、苦しい枠になってしまいましたが、最後までしっかり伸びてくれていました」

 デビューからの12戦すべての手綱を取ってきた松山騎手は、苦楽を共にしてきたパートナーの奮闘を労いつつ、外枠有利の展開に敗因を求めたが、かつての輝きを知るだけに物足りなさを感じていたかもしれない。

 事実、今回のエリザベス女王杯も、決して何の不安もない状態で臨めていた訳ではない。

「女王陥落」デアリングタクトに限界説も…

 女王の現状を象徴するのが、レース後に元JRA騎手の安藤勝己氏がTwitterにてツイートした「デアリングタクトは位置取りもあるけど、印象としては前走の負け方と変わらない。いい頃には戻ってないね」という言葉である。

 このような想いは安藤氏だけではなく、三冠を制した3歳時のデアリングタクトを知る人間なら誰もが感じたことだろう。

 前走のオールカマー(G2)を6着に敗れた際、「もう少し伸びてもいいはず」「ここは楽に勝ち負けしたかった」「最後は前を交わすのがやっと」と松山騎手が振り返り、「いつもの感じとは違いました」「好調な時ならもう少し脚を使えた」「らしさがありませんでした」と杉山晴紀調教師も首をかしげていたデアリングタクト。内容次第でジャパンCの予定から下方修正の選択肢で敗れてしまったことは、苦しい現状を象徴している。

 やはり無視できないのは、昨年4月の香港遠征で負った右前の繋靱帯炎の影響だ。デアリングタクトは、競走馬にとって「不治の病」といわれる屈腱炎とよく似た症状を伴う故障を過去に経験している。

 繋靱帯炎を発症すると、レース中に蹄が着地する際、球節のクッションのような役割を果たしている部位を修復する必要がある。最近では二冠牝馬スターズオンアースが、これにより戦列を離脱し、ステイフーリッシュも引退を余儀なくされた。デアリングタクトの父エピファネイアも繋靱帯炎で引退した1頭だった。

 復帰まで1年1ヶ月の期間を要したとはいえ、こうしてターフに復帰できたことは、デアリングタクト陣営による懸命な努力の賜物だろう。

 ジャパンCにも登録はあるが、管理する杉山調教師は「状態を見て決めたいと思います」と慎重な姿勢。同じ阪神の芝2200mの宝塚記念(G1)で一線級の牡馬を相手に3着に入った女傑が、相手関係が楽になるはずの牝馬限定戦で完敗を喫した事実はあまりにも重い。

 肉体的に問題ないように見えても、もしかしたら闘争心の衰えや故障による精神的な後遺症が影響している可能性も考えられる。

 デアリングタクトが歴史的名牝の1頭であることは間違いないとはいえ、エピファネイア産駒の早熟疑惑も含めて、「限界説」を噂されてもおかしくない状況まで追い込まれたことに淋しさを感じずにはいられない。

黒井零

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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