テーオーケインズが露呈した致命的弱点…陣営も見落とした「必然」の凡走
先週末のチャンピオンズC(G1)で殊勲の勝利を挙げたのは、人馬ともに初G1勝利を手に入れた石川裕紀人騎手とジュンライトボルトのコンビ。初G1勝ちを決める騎手、競走馬の目立つ今年のG1戦線だが、それを象徴するかのような結果だった。
これに対し、連覇を狙った昨年の覇者テーオーケインズ(牡5、栗東・高柳大輔厩舎)だったが、好位から伸び切れずに4着。単勝オッズ1.5倍の断然人気を集めながらも、ファンの期待に応えることが出来なかった。
2着に入ったクラウンプライドは、前哨戦のJBCクラシック(G1)で完勝した相手。昨年は前哨戦で4着に敗れての圧勝。今年は、その前哨戦を快勝して臨んだだけに、誰の目にも万全の態勢に映ったはずだ。
にもかかわらず、前走で格の違いを見せた相手のクラウンプライドに逆転を許し、6馬身差で圧勝した舞台での凡走に溜息をついたファンは少なくなかっただろう。
「思ったようなポジションを取れましたが、勝負所で反応し切れませんでした。直線でも思ったより一杯一杯でした。返し馬では落ち着いていて、それが良い方に出ればと思ったのですが、いつもとは違った面がありました。結果だけ申し訳ありませんでした」
これが本来の実力ではないことを最も知っているのは、パートナーと苦楽を共にしてきた松山弘平騎手だ。大きな違和感はなかったとしつつも、直線のテーオーケインズに余裕がなかったことが伝わってくるコメントを残している。
勿論、相手関係や過去のレースぶりを考えても、絶対王者がパフォーマンスを落としていたことは明白。大一番に臨む陣営から「状態面に不安はなく、ここまでこれています。自信を持って送り出せます」とアピールする言葉も出ていた王者に一体何があったのだろうか。
陣営も見落とした「必然」の凡走
相手が言葉を話せない競走馬だけに、はっきりした敗因はわからないものの、一つだけ気になった点を見つけた。それは、テーオーケインズが想像以上に見えない疲れを残していたのではないかという疑惑だ。
改めて同馬の戦績を振り返ってみたところ、デビューから20戦のキャリアでマイナス体重の出走だったのはチャンピオンズCを含めて5回あるのだが、そのすべてで敗れていたのだ。これまで手に入れたG1・3勝が、すべてプラス体重だったことを思えば、マイナス体重で出走した今回は、ある意味必然的な敗戦だった可能性もある。
近走のテーオーケインズが、勝ったり負けたりを繰り返していたことを危惧する声も戦前に出ていたことも確か。この推測があくまで結果論で述べている共通点であることは間違いないとはいえ、目に見えない疲れを残していたということなら、多少なりとも説得力のある話だ。
次走についてはまだ発表されていないが、当日の馬体重がプラスとなっていれば、王者復権も現実味を帯びてくる。逆に再びマイナス体重で出てきた場合は、疑っていいかもしれない。
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