武豊「カッコいい」、横山典弘「本当の天才」ベタぼめする世界的名手が引退発表
17日、日本中の競馬メディアはもちろん、世界の数多くの競馬メディアが一斉に報じたL.デットーリ騎手の引退発表。今年はすでに欧米の主要レースは終了しており、日本でも残り3日の開催という段階なので、実際にデットーリ騎手が引退するのは来シーズン一杯騎乗してから、という話ではあるが、世界的名手引退の報はまだ1年を残す段階で発表されたものであれ、各方面に衝撃を与えた。
世界的名手ではあるが、日本にも短期免許での滞在を含め、幾度か来日しており、その都度その名手ぶりを発揮してきた。初来日は1991年で、ドラムタップスがジャパンC(G1)に参戦するのに合わせてのもの。残念ながらレースは11着に敗れ、初来日で勝利を飾れなかった。
だが、92年と93年はヤングジョッキーズワールドチャンピオンシップの開催に合わせて招聘され、92年の第1回と翌年の第2回を連続優勝。第1回は2位が横山典弘騎手、4位に松永幹夫騎手(現調教師)が入った。翌年は4レースあるうちの3レースに勝利する圧倒的な内容。この時は田中勝春騎手が2位、横山典騎手が6位、武豊騎手が8位と現在のレジェンドたちも見せ場なしという完璧な勝利だった。
96年はシングスピールでジャパンC制覇、さらに2002年はファルブラヴでジャパンC2勝目、その前日には当時ジャパンCと同週開催されていたジャパンCダート(現チャンピオンズC・G1)でイーグルカフェに騎乗して勝っており、2日連続でG1制覇という離れ業を見せた。その3年後、アルカセットで再びジャパンCに勝利。21世紀に入ってからは日本馬が圧倒的な強さを見せている中で、外国馬に騎乗して勝つのは並大抵のことではなく、実際にこの勝利が現時点で外国馬最後の勝利となっている。また、ジャパンCの勝利数は武豊騎手の4勝に続く3勝を挙げているのも特筆すべきだろう。
この後、2011年に2日間だけの短期免許を取得し、日本ダービー(G1)に外国馬で参戦。19年にも4日間だけの短期免許で来日し、21鞍に騎乗して6勝を挙げ名手の名手たる所以を見せつけた。
今回の一報を受けて日本のトップジョッキーの反応は…
このように日本でも名手ぶりを発揮してきただけに、今回の一報を受けて日本のトップジョッキーも反応。池添謙一騎手も自身のTwitterで「ずっと憧れてる僕のスーパースター」と記したほか、C.ルメール騎手も「スーパースターで、エンターテイナー」などとコメント。レジェンド武豊騎手は「寂しい感じ」としながら「また一緒に来年、1回でも多く乗りたい」と再戦を望むコメントを送っている。
また、今年春に『Number Web』のインタビューで武豊騎手は「騎乗フォーム、馬の上でのいでたち、パドックの時点で格好いいなと思えますし、常歩だけで見惚れます」とデットーリ騎手をベタ褒めするなど、同世代ということもあってかライバル以上のものを感じているのが伝わる。
同じく同世代の横山典騎手も19年の『Number Web』のインタビューで「本当の天才はフランキー(デットーリ騎手の愛称)みたいな奴」とやはり高い評価をしており、同世代だから感じる凄みを体感していたのだろう。
このように日本でも多くの足跡を残してきた名手だけに、来年短期免許で来日するようなことがあれば、ラストシーズンとなるだけにその騎乗ぶりを目にしておきたいものだ。
軽く欧米での活躍ぶりにも触れておこう。
・10代で年間100勝を達成(1990年)
・1994年、1995年、2004年の3回英チャンピオンジョッキーの座につく
・1996年9月28日に英アスコット競馬場で1日7レースのすべてに勝利(英国史上初)
・凱旋門賞で史上最多の5勝をマーク
・ロイヤルアスコット開催のG1 8レースを完全制覇
など。また、これまで騎乗した馬もキラ星のような名馬揃いで、ドバイミレニアム(ドバイWC)、サキー(凱旋門賞)、ラムタラ(英ダービー、凱旋門賞など)、マリエンバード(凱旋門賞)、エネイブル(凱旋門賞連覇含むG1 11勝)、エレクトロキューショニスト(ドバイWC)、スノーフォール(ディープインパクト産駒。英オークスを16馬身差で圧勝)など。
先日発表された福永祐一騎手と同じく「まだまだ乗れる」状況での引退発表だけに衝撃も大きかった。今後、これほどの騎手が現れるのか未知数だが、ヨーロッパの長い競馬の歴史に刻まれる名騎手であることは間違いない。
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