
C.ルメール「武豊超え」最多勝更新でリーディング返り咲き! 川田将雅「武史と競うのは今じゃない」名手が望んだ理想の勢力図とは

1年ぶりのリーディング返り咲きだ。
先週末の開催で土曜3勝、日曜3勝を挙げたC.ルメール騎手。1回東京開催の勝利数は24勝となり、同一場1開催(8日間)の最多勝記録を更新する活躍を見せた。これまでの最多だった武豊騎手、藤田伸二元騎手、戸崎圭太騎手の21勝を3勝も上回る更新なのだから驚きである。
土日で計6勝の上乗せに成功した名手は、昨年2月20日以来となる全国リーディングのトップに浮上。自身の不振も響いた昨年は、川田将雅騎手にリーディングの座を明け渡して2017年から続いていた5年連続リーディングの記録も途絶えた。タイトル奪回のためにも、ここからセーフティリードに持ち込みたいところだ。
昨年は、ルメール騎手にとっても不本意な1年に終わったことは間違いない。川田騎手に後れを取っただけではなく、143勝を挙げたライバルに対し、自身は109勝と大差をつけられての5位。結果を残しているからこそ、有力馬の騎乗依頼が増える相乗効果とは逆に、結果を残せなければ騎乗馬の質が下がることは珍しくない。
歴代最多18回の全国リーディングを獲得した武豊騎手ですら、全盛期に比して馬質の低下を避けらなかった。53歳の現在でも有力馬に騎乗すれば、熟練の手腕を見せてくれるように天才騎手の腕は確かだが、2008年を最後に14年間もかつての定位置から遠ざかっている。これはリーディングジョッキー経験者である横山典弘騎手や内田博幸騎手についても同じことがいえるだろう。

その一方、強敵の復活を喜んでいるかもしれないのが、日本人騎手としてリーディングを獲得することを悲願としていた川田騎手だ。
常に自分より上にいたルメール騎手を倒したことに、喜びを感じていることは間違いないとはいえ、昨年のライバルがこれまでと別人のような低空飛行が続いたことも確か。2021年12月のチャレンジC(G3・ソーヴァリアント)の勝利を最後に、年を跨いで重賞レースを29連敗。ようやく初重賞勝ちを決めたのも5月22日のオークス(G1)という遅さだった。
しかもこの馬は桜花賞(G1)を川田騎手とのコンビで優勝していたが、同騎手が強い思い入れのある母馬であるパールコードの産駒アートハウスを優先した結果、回ってきた棚ぼた的な幸運に恵まれてのもの。その後も重賞勝ちはあったが最終的に5勝。近年は毎年のように二桁以上の重賞勝ちを決めていた騎手が、ここまでの不振に陥ったのは2015年にJRA所属となってから初めての経験となった。
川田騎手としても相手がスランプだったお陰と言われては面白くないはずであり、本調子の相手を真っ向勝負で倒してこそという想いもあっただろう。実際、『netkeiba.com』で連載している同騎手のコラム「VOICE」にて、当時のことに触れた場面があったので、この場を借りて紹介しておきたい。
名手が望んだ理想の勢力図とは
詳細については本記事をご覧いただきたいのだが、戸崎騎手をゲストに招いた対談で「僕からすると、あのときの戦況は、僕が求めていたものとは違ったんですよ」と振り返った川田騎手。勝利数的には横山武史騎手と争う状況であり、「これからの競馬界を担っていくひとりであることは間違いありません」と認めている。
だが、川田騎手の理想は大井から移籍して3年連続リーディングを獲った戸崎騎手、フランスから移籍して5年連続でリーディングを獲ったルメール騎手にJRA生え抜きの自分を加えた3人で、日本一を争うことに意味があると考えていたようである。
だとすると、今年の状況は川田騎手が描いたイメージに近いだろう。先週末の開催を終えた現在のリーディングは、1位にルメール騎手で2位に川田騎手、5位に復調を見せている戸崎騎手という順位。好調なライバルを負かし、2年連続でリーディングジョッキーに輝いたとき、本当の意味で川田将雅時代が訪れるのかもしれない。
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