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【ケンタッキーダービー出走特別連載】物語は続いていく。4人のホースマンの夢を繋いだ日本ダービー馬「絆(キズナ)」の物語<3>

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「第92回凱旋門賞はトレヴだ! フランスだ! 日本馬、悲願達成ならず!フランス・トレヴ強かった!――」

 しかし、そんな日本のすべてのホースマンの夢を打ち砕いたのは、これまで4戦4勝と完ぺきな成績を残していたフランスの3歳牝馬トレヴだった。最後の直線に向くとあっという間に先頭に立ち、2着オルフェーヴルを始めとした後続に何もさせないまま、最後は5馬身差で圧勝した。

 キズナも力及ばず4着。内容はまさに完敗という他なかったが、まだ3歳と完成されていないキズナには、今後の希望が持てるレースだったことは間違いないだろう。

「来年また…」チーム・キズナは、そんな強い思いをロンシャンの地に残した。

 迎えた翌年。古馬になったキズナは4月の産経大阪杯(G2)で同世代のライバルをものともせずに快勝。しかし、単勝1.7倍と圧倒的な人気で挑んだ天皇賞・春(G1)は本来のキレを見せられず4着に敗退。レース後に骨折が発覚した。

 この影響で凱旋門賞への挑戦プランも白紙。キズナにとって、これがキャリア初の故障だった。

 さらにその年の9月、復帰をかけて懸命にリハビリを続けていた佐藤哲三が現役続行を断念。今後は未定とのことだったが、前田幸治は「調教師になれ。ウチの馬、全部預けるから心配ないだろ」と激励。佐藤も「本当にありがたい」と今後のリハビリの支えにさせてもらうと誓っていた。

 志半ばでムチを置かざるを得なかった佐藤の分まで、なんとしてももう一度キズナで世界の頂点に挑みたい――。そんな意志の下、年内の復帰を目指して調整されていたキズナだったが、結局復帰できたのは翌年の2月だった。

 復帰戦となった京都記念(G2)で3着と好走したが、キズナ本来の実力からすれば当然ながら物足りないものだった。続く産経大阪杯でも2着に惨敗し、天皇賞・春では2年連続の1番人気に推されるも7着と完敗。生涯初めて掲示板を外した。

 無論、前田とはキズナの凱旋門賞制覇の夢を諦めたわけではなかった。しかし、肝心のキズナが本来のパフォーマンスを発揮できていない以上、その年の凱旋門賞参戦も断念せざるを得なかった。

 その後、懸命な立て直しを図ったが、今度はキズナが競走馬にとって致命的といわれている屈腱炎を発症。前田と調教師の佐々木で相談した結果、このまま引退することとなった。

 こうして、第80回ダービー馬キズナでの凱旋門賞制覇の夢は終わりを告げた。

 しかし、前田と武の飽くなき”世界を股に掛けた壮大な夢”は何一つ終わっていない。

 今年も前田が武に「全部乗れ」と豪語したドバイ国際競走の3頭出走に始まり、今週のケンタッキーダービー(G1)ではラニと共に世界最高峰の舞台に挑もうとしている。

 また、ラニを管理する松永幹夫調教師の出身地は熊本。かつてキズナが東日本大震災の復興を願う人々を勇気づけるために駆け抜けたように、今度はラニが熊本の人々に日本の底力を示そうとしている。

「第100回の日本ダービーをキズナの仔で勝って、凱旋門賞を勝ちたい」

 キズナの引退を受け、武は前田の隣で力強くそう語っていた。「何度挫けても、飽くなき意志を持ち続ければ”思い”は叶う」。彼らはそれを誰よりも深く知り、深く信じているからこそ、最後の最後まで可能性を諦めないのかもしれない。
(文=浅井宗次郎)

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