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種付け料の「300倍」でマカヒキ産駒、悲運の名馬シャケトラの半弟を落札…ディープインパクト、キングカメハメハの素質見抜いた金子真人オーナーの思い入れ

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シャケトラ
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 7日、8日の2日間にわたって苫小牧・ノーザンホースパークで開催された日本最大のサラブレッド市場「セレクトセール2024」。初日の1歳馬セッションに歴代最高額5億9000万円で落札されたデルフィニアⅡの2023をはじめ、億超えの高額馬が多数出ていることでも注目を集めた。

 まるで雲の上で行われているような“札束の殴り合い”には、ネットの掲示板やSNSでも「実感がわかない」「庶民とは金銭感覚が違い過ぎる」「こんなお金あったら老後の蓄えにする」という声もあったほど。世間では不景気といわれる中、セレクトセールの会場では、まだバブルが続いているような感覚に陥った人がいたかもしれない。

セレクトセールの代名詞になりつつある札束の殴り合い

 ただ、落札額の高さイコール競走馬の成績とならないのもセレクトセールの面白さのひとつともいえるだろう。実際、セレクトセール出身の馬で今年の春G1を制したのは、日本ダービー(G1)を優勝したダノンデサイル1頭。世界最強馬に上り詰めたイクイノックスにしても、セレクトセールで取引がされていた訳ではない。

 とはいえ、本セールから多くの名馬が誕生したことも事実。過去のセレクトセールの取引馬には、キングカメハメハ(2001年の当歳セッション)、ディープインパクト(2002年の当歳セッション)もいる。ちなみに前者の落札価格は7800万円、後者は7000万円という「お買い得な価格」だった。

 購入したのは、相馬眼に定評のある金子真人オーナー。現役を退いた後も種牡馬として歴史に名を刻んだ馬を2頭も所有した幸運の持ち主でもある。他にもクロフネやソダシといった名馬のオーナーとして知られているが、今年のセレクトセールでは、オーナー縁の2頭を落札したことでも話題となった。

 1頭は8日の1歳セッションにて1億5000万円で落札されたサマーハの2023(牡、父キタサンブラック)。2019年の阪神大賞典(G2)など、重賞を3勝したシャケトラが半兄だ。名義は金子真人ホールディングス。兄はG1初制覇を期待された19年の天皇賞・春(G1)の前に予後不良で安楽死という悲劇で天国へと旅立った悲運の名馬だった。落札理由に「思い入れのある、この血統だからですよ」と答えたように、オーナー縁の血統だ。

マカヒキ
マカヒキ

 そしてもう1頭は9日の当歳セッションにて1億5000万円で落札されたデロングスターの2024(牡、父マカヒキ)。今年の上場馬で唯一のマカヒキ産駒だったが、マカヒキを所有していた金子オーナーが手に入れた。2016年のダービー馬である父は、3歳秋に凱旋門賞(仏G1)に挑戦。古馬になってから苦戦が続いたものの、8歳で出走した21年の京都大賞典(G2)で不死鳥の如く復活勝利。9歳まで息の長い現役生活を続けた。

 種牡馬となった現在のマカヒキはレックススタッドで繋養されており、初年度の種付け料は破格の50万円。億超え馬を複数出したキタサンブラック(2000万円)やエピファネイア(1500万円)とは大きな開きがある。その父から1億5000万円で取引された産駒が登場したのだから、種牡馬としての可能性を感じられる結果だ。

 かつてディープインパクトを落札した際、サンデーサイレンスの産駒14頭中で9番目の金額だった馬を「瞳が印象的だった」として購入した金子オーナー。ただのマネーゲームではなく、己の信念を貫いて馬を購入していることも、単なるラッキーだけで語ることのできない豪運をもたらしているのかもしれない。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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