武豊の続投すら脅かした佐々木大輔と快進撃!関西の名トレーナーが「過去最高ペース」で勝ち星を荒稼ぎ
ゴールドシップやソダシで一世を風靡した須貝尚介厩舎が絶好調だ。
先週の開催を終えて46勝を挙げ、全国リーディングでもトップ。43勝で2位の友道康夫厩舎に3勝差をつけている。2022年にキャリアハイの年間47勝をマークしたが、今年は10月上旬ですでに46勝。このペースなら年間50勝クリアも時間の問題だろう。
快進撃を後押ししているのは、層の厚い2歳世代の活躍だ。2歳馬の成績でも最多タイの9勝。同じく9勝の斉藤崇史厩舎の勝率33.3%に対し、須貝厩舎のそれは52.9%と大きく上回っている。2歳重賞でも2戦2勝と来年のクラシック候補も登場した。
佐々木大輔×須貝尚介コンビが大活躍
やはり見逃せないのは、厩舎の主戦を川田騎手から関東のホープ・佐々木大輔騎手に切り替えたことかもしれない。
昨年の佐々木騎手×須貝厩舎のコンビはわずか4回だったが、今年は既に56回。2番目に多い川田騎手の27回の約2倍に急増。もはや文句なしの厩舎のエースといっていい活躍を残しているのだ。
関西の須貝厩舎に対し、関東の佐々木騎手と所属は異なるものの、乗れる若手としてブレイクした佐々木騎手に目をつけ、お互いにWin-Winの相乗効果で結果を残した。関西に比してチャンスが少ないといわれている関東だが、東西関係なく騎乗機会を用意した須貝調教師の懐の深さも大きいか。
師の期待に応えた佐々木騎手も札幌2歳S(G3)をマジックサンズ、サウジアラビアロイヤルC(G3)をアルテヴェローチェで勝利。佐々木騎手自身も7月にサトノカルナバルで函館2歳S(G3)を制して重賞初勝利を手にしたが、そこからわずか3ヶ月で重賞3勝を挙げたのだから大したものである。
サウジアラビアRCにおけるレース後のコメントでも両者の蜜月関係が感じられた。このレースでは、C.ルメール騎手のアルレッキーノが単勝1.5倍の断然人気に推されたが、直線で伸び悩む大本命を外から豪快に差し切ったのが佐々木騎手とアルテヴェローチェのコンビ。最内の1枠1番から手綱を引いて下げるシーンがありながらも、外に出して圧巻の差し切り勝ち。直線でも外へ外へとヨレる馬を矯正しながら追っており、着差以上にスケールの大きさを見せる内容だった。
ただ、内容としては好スタートを決めていた馬をあえて下げ、後方から大外に出すロスの多い騎乗。見ている側にとっては非常に危なっかしいものだったが、どうやら須貝調教師の指示もあった様子。というのも、須貝調教師がレース後、「内枠で想定内のレースでした。馬場の内が悪いと分かっていたので、いいところに出して欲しいと伝えていました」とコメントしていたからだ。
結果的に勝てたからよかったとはいえ、好騎乗というよりも馬の強さに助けられた勝利という印象も強かっただけに、陣営も冷や汗をかいたレースだったのではないか。
その一方で、須貝調教師の佐々木騎手に対する信頼が深まったのも当然。今回はデビュー戦で手綱を取った武豊騎手が凱旋門賞で乗れなかった関係もあっての起用と考えられるが、主演騎手の交代を匂わせる発言も飛び出している。
須貝調教師は「佐々木騎手は2週調教に跨っていて、馬のことをよくわかっていた」「指示に応えた人馬は大したものだと思います」「今後は朝日杯フューチュリティS(G1)を目指しますが、鞍上はオーナーと相談します」と話しており、これは文字通り乗り替わりの可能性を示すもの。それだけ佐々木騎手の腕を買っているということにほかならない。
競馬界の第一人者である武豊騎手を差し置いても“愛弟子”を推したい想いが強まったといっていい発言は、チャンスをモノにしている佐々木騎手が、調教にも跨った上に結果を残しただけでなく、自分の指示を忠実に守って勝ってくれたことも大きいはず。伸びしろしかない若手のホープとのコンビで厩舎も好調なのだから、当然の帰結といってもよさそうだ。
しかし、ひとつ懸念があるとすれば、須貝調教師が少々癖の強い人物という点か。過去ゴールドシップやソダシといったアイドルホースを管理した須貝調教師だが、どちらも主戦騎手が降板の憂き目にあったことがある。そういった経緯を思えば、今は蜜月関係にある佐々木騎手とも何かしらのきっかけで絶縁する可能性もゼロではない。はたして、このまま相思相愛の関係が続いていくだろうか。今後注目の2人である。
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