ミホノブルボンvsライスシャワー連想させた「100分の1」の攻防!同一馬によるワンツースリーは平地競走史上初
日曜から12月に突入した先週末は、中京競馬場で下半期のダート王を決めるチャンピオンズC(G1)が開催。フルゲート16頭の精鋭が集結した一戦を制したのは、1番人気に応えて連覇を飾った坂井瑠星騎手とレモンポップ(牡6、美浦・田中博康厩舎)のコンビだった。
国内G1で無敗を誇る人馬は、1枠2番の絶好枠を味方に好スタート。道中でミトノオーに競りかけられるシーンもあったが譲らない。すぐに「定位置」をキープしてから最後まで先頭を守ってゴールへ駆け込んだ。
レース後のインタビューで鞍上の坂井騎手が「鬼のような気配を感じました……」と振り返ったように、最後の直線で猛然と追い上げた川田将雅騎手のウィルソンテソーロとわずかハナ差という薄氷の勝利である。
しかし、前年よりマークが厳しくなった王者に「頑張れ」「レモン」と闘魂注入した坂井騎手の想いが逆転を許さない。紙一重に映ったとはいえ、何度やり直してもレモンポップが勝利していたようにも感じられた。
ミホノブルボンvsライスシャワー連想させた「100分の1」の攻防!
また、見応え十分の激戦が繰り広げられた中で珍事も発生した。レモンポップがウィルソンテソーロの挑戦を跳ね返しただけでなく、3着にドゥラエレーデが入ったことにより、昨年と同じ結果も再現。障害競走では前例があるものの、平地G1競走では史上初となる同一馬によるワンツースリーでもあった。
昨年はレモンポップ(1番人気)→ウィルソンテソーロ(12番人気)→ドゥラエレーデ(9番人気)で3連単の払戻が190万2720円に対し、今年はレモンポップ(1番人気)→ウィルソンテソーロ(2番人気)→ドゥラエレーデ(9番人気)で1万8050円。3着まで同じ組み合わせながら、その配当はなんと100分の1以下。「歴史は繰り返す」という言葉もあるが、ちょっとした珍記録といえるだろう。
その一方、同じ組み合わせで配当が100分の1となった今年のチャンピオンズCでミホノブルボンとライスシャワーの激闘を思い出したファンもいたかもしれない。
両馬の現役時代には、まだ3連単の発売はされていなかったのだが、1992年の日本ダービー(G1)をミホノブルボンが断然人気で優勝した際、2着ライスシャワーは単勝万馬券の16番人気という超大穴で激走した。本馬は秋のセントライト記念(G2)でレガシーワールドの2着に入った後、京都新聞杯(G2)で再びミホノブルボンに挑戦した。またしても返り討ちに遭ったものの、2頭の馬連は300円。これはダービーの馬連2万9580円から約100分の1も少ない配当だったのである。
この話には続きがあり、淀で菊の大輪を咲かせたライスシャワーが雲の上の存在だった無敗の二冠馬に初勝利を決めるドラマもついてくるが、距離不安を囁かれたミホノブルボンと今回のレモンポップも、どことなく似ている気がする。
いずれにしても今年のチャンピオンズCは、2024年のベストバウトとして候補に挙がってもおかしくない好レースだったことは間違いない。国内G1・6勝を挙げた名馬に傷があるとすれば、海外遠征で歯が立たなかったことだ。種牡馬として送り出す産駒には父のリベンジを期待したい。
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