
競馬評論家・鈴木和幸の第83回日本ダービー(G1)最終追い切り診断
[ブレイブスマッシュ]はNHKマイルCから中2週だし、前走ですでに体はできているので今週はG間軽く仕掛けただけ。時計は前走前より遅いウッド6F83秒5-39秒6だがこれは予定通り、動きは軽快で余力もたっぷり。変わり身こそないものの、仕上げに不安はない。問題はこのメンバーに入っての能力。
先週にウッド6F78秒台の、速い追い切りをかけている[プロディガルサン]は、6Fからの併せ馬で83秒3-39秒4-12秒8馬なり。田辺との呼吸もぴったりだったし、意識して追わなかったのだから時計はこれでいい。青葉賞4着のデキは保っているが、これだけの強力メンバーが相手である、もう一歩の前進がほしかった。
[プロフェット]は内サトノダイヤモンド、外サトノノブレス(古馬オープン)という強力馬との3頭併せの真ん中、それでも4コーナーを回るときの手応え一番に見えた。結果は内に2馬身半、外に1馬身半遅れだが、フットワークに乱れはなく、時計も6F82秒0-38秒1と合格点。順調だ。
[マイネルハニー]は終始馬なりとはいえ、ウッド5F70秒4-41秒0-13秒5とまるで牝馬のようなやわい最終追い切り。動きは悪くなかっただが、それにしても時計遅すぎ、控えすぎ。青葉賞2400メートルの疲れが抜け切っていないのではないか。
[マウントロブソン]は、ウッドの4Fからの3頭併せで53秒4-38秒6ー13秒0、時計は特別速くはないが、この馬は調教では速いとか、鋭いとか、よさを見せたことがない実戦タイプだ。しっかりやれていればレースで走る。地味ながら、皐月賞6着のように前で展開して簡単にはバテないのが真骨頂。その持ち味を存分に発揮できるデキとみた。
皐月賞2着の[マカヒキ]は、ウッドの7F2本を含め、時計7本と、さらに一段と攻め馬を強化されている。その効果歴然が今週の追い切り。坂路で52秒9-38秒5の時計だが、残り200メートルからほんの少し鞍上の手が動いただけ。GOサインが出ると待ってましたとばかりにストライドを伸ばし、ラスト1Fは前走時の13秒0をしのぐ12秒1、強く追えば11秒台間違いなしの脚勢が目を引いた。天性のバネというか、とにかく動きは弾むよう。100点満点ならぬ120点がやれる圧巻の総仕上げだった。
[リオンディーズ]は皐月賞でひどくかかったため、この中間は折り合いに重きをおいての調整だ。しかし、だからといって攻めを控えているわけではなく時計8本、2回の併せ馬、15日には坂路52秒7-37秒9、18日にはウッド6F84秒5-38秒4、そして、22日は再び坂路で53秒1-38秒9というハードさだ。今週はウッドの6Fから前2頭を壁にするようにしてゆっくりゆっくりと進み、直線半ばでやっと内にもぐり込む形。外2頭と併さるとがぜん闘志をむき出しにし、あっさり先頭に立ってゴール。85秒4-38秒0の時計で、ラスト1Fは11秒1の爆発力だった。体調は文句なし、あとは激しすぎる気性を、デムーロがどう御すかだけである。なだめ切れたら一番強いのはこの馬かも知れない。
坂路で59秒5-41秒9の[レインボーライン]。動きに鋭さもなければ力強さもなく、おまけにもっさりと気合いも不足。NHKマイルC3着は評価されていいが、この追い切りを見ると、はっきり激走の反動がある。
[レッドエルディスト]も坂路。残り200メートルからの追い比べであっさり1馬身半先着の53秒4-38秒9-12秒0だが、これまでと違っていたのは追われての伸び。ちなみに前走追い切りのラスト1Fは13秒0、今回は1秒も速い12秒0。ステイヤーの血開花となると、青葉賞の2着馬でもあり、軽くは扱えなくなってきた。
NHKマイルCでメンバー最速の脚で2着に突っ込んだ[ロードクエスト]。この反動もなく、21日にはウッド6F82秒4-38秒5をマークできている。小島茂調教師自らが乗った今週は、前走6kg減の馬体がこれ以上減らないようにとの配慮だろう、G強めにとどめた。それで5F68秒2-38秒4-12秒6なら調子落ちの心配はいらない。事実、馬には活気があり、フットワークも軽快そのものだった。
鈴木和幸[すずき かずゆき]
競馬評論家。競馬専門誌ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を本誌予想として初めて達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。 著書に「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」「勝ち馬がわかる競馬の教科書」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)「図解競馬の参考書」(宝島)など多数。「勝ち馬がわかる競馬の教科書」は競馬書籍としては快挙とも呼べる、約6万部を発行している。
「公式ブログ」では追い切り診断や推奨馬などを公開中。
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