
安田記念大本命敗北にT.ベリー騎手ショック……モーリス「唯一の弱点」と、紛らわしい「本物・偽者」?

安田記念で断然の本命として、単勝1.7倍の1番人気に推されたモーリス。しかし、逃げ勝負をしかけた古豪ロゴタイプのペースにまんまとはめられ、8戦ぶりの敗戦を喫してしまった。
もちろん、ロゴタイプの逃げが1000m59.1秒というスローペースに抑えられ、2番手でかなり引っかかった状況で2着を確保するのだから、その能力に疑いの余地はない。今後もモーリスがマイル路線の主役であることは紛れもない事実だ。
それでも、鞍上のT.ベリー騎手としては「やってしまった」という気持ちに違いない。道中は明らかに折り合いがつかないことがうかがえるガタガタの騎乗。オーストラリアの若手騎手で、緊張もうかがえた。レース後のコメントもすぐには語ることができず、「それでも2着。よくがんばってる」と搾り出す他ない様子だった。
無論、ベリー騎手の騎乗が物足りなかった部分もあるだろう。しかし、海外帰り、仕上がりも万全とはいえなかったモーリスに不安がなかったわけではなく、東京コースに対する適性にも疑問が残る。決してベリー騎手だけの問題だけではないようにも思える。
むしろ、レース後すぐにコメントできないほど、レースに対して意気込みが強かったということ。今回の短期免許はこれで終了だが、これを糧に母国で活躍してもらいたい。
今回のレースで、モーリスの「弱点」は何なのだろうという疑問が沸いた。左回りで手前を変えないという情報もあり、そもそも右回り巧者と考えるとしっくりくる。しかし、それは根本的な問題ではないように思えた。
モーリスに足りないもの、それはつまるところ「体質」ではないか。爪に不安があり、かつ連続でレースに使う点に陣営も慎重な姿勢を崩さない。つまり、強い負荷をかけたり前哨戦を使ったりと「100%」の仕上げでレースに臨むことが難しい馬なのではないか、と。そんな中でG1を4勝、特に昨年、安田記念からぶっつけでマイルCSを制した姿には度肝を抜かれた。そのポテンシャルは計り知れないが、「無事是名馬」という点で不安があるのも事実だろう。
秋、モーリスはどの道を歩むのか、動向が注目される。
これは余談だが、T.ベリー騎手は「偽ベリー」とネット上では呼ばれている。日本に何度も訪れているF.ベリー騎手と混同するためだ。「T(true)」が偽者で「F(false)」が本物とは、少し紛らわしい。
(文=利坊)
PICK UP
Ranking
23:30更新「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
【NHKマイルC(G1)予想】ジャンタルマンタルは皐月賞の反動があるとみて消し! 出走唯一の連勝馬に着目
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「関東の問題児」がバチバチの叩き合いで痛恨の騎乗停止…被害馬の騎手からもクレーム? 降着の裁決に「迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ち」
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
- 武豊「こんな馬ではない」アルテヴェローチェ不完全燃焼!レースレベルに疑問残るも…川田将雅「4コーナーで勝つと思いました」の明暗