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JRA「武豊超え」寸前でスルリ……「何とかなると思ったが」中山グランドジャンプ(G1)歴史的・政権交代であわや達成だった「もう1つの大記録」とは

JRA「武豊超え」寸前でスルリ……「何とかなると思ったが」中山グランドジャンプ(G1)歴史的・政権交代であわや達成だった「もう1つの大記録」とはの画像1

 17日、中山競馬場で行われた中山グランドジャンプ(G1)は、1番人気のメイショウダッサイが勝利。絶対王者オジュウチョウサンが5着に敗れたことで、ハードル界は久々の政権交代を迎えた。

「オジュウが出ているG1レースで勝つことができて、より感慨深いものがあります」

 レース後、メイショウダッサイの森一馬騎手がそう語った通り、昨年の中山大障害(G1)のG1初制覇はオジュウチョウサンが不在の中での戴冠だった。それだけに新旧の王者が集った今回の一戦は、障害競馬の歴史的な1ページになったに違いない。

 そんな中、またもあと一歩で涙を飲んだのが、昨年の中山大障害に続く2着に敗れたケンホファヴァルト(牡8歳、栗東・森秀行厩舎)と主戦の熊沢重文騎手だ。

「(最後の)直線に向いた時は『何とかなるか』と思ったが……」

 熊沢騎手がそう悔しさを込めた通り、最後の直線……いや、最終障害を越えた時もケンホファヴァルトは、メイショウダッサイを射程圏内に捉えていた。しかし、そこから新王者が底力を発揮。

「勝ち馬の方が余裕があった」との言葉通り、最後は4馬身差をつけられる力負けになってしまった。

「昨年12月の中山大障害では、単勝69.7倍の9番人気という低評価を跳ね返して2着したケンホファヴァルトですが、今回も8頭中5番人気と決して高い評価ではありませんでした。

しかし、道中は中団やや後方から、最終コーナーで一気に前との差を詰めるレース運びは、中山大障害と同じ。熊沢騎手としても、ほぼ完璧なレースができたんじゃないでしょうか。勝ったメイショウダッサイが頭一つ抜けて強いことは確かですが、今後はケンホファヴァルトにもチャンスがあると思いますね」(競馬記者)

 今年で53歳のシーズンを迎えている大ベテランの熊沢騎手。もし、今回の中山グランドジャンプを勝っていれば、50歳7か月で達成した武豊騎手の菊花賞(2019年ワールドプレミア)を抜いて、岡部幸雄さんの53歳11か月に次ぐ、歴代2位のG1最年長勝利記録となるところだった。

「今年の1月で53歳になった熊沢騎手ですが、ここ2年の中山大障害は連続2着と、今回の中山グランドジャンプでも2着と、その腕はまだまだ健在です。ケンホファヴァルトは、まだ障害馬としてのキャリアが浅いだけに今後まだ上積みがありますし、熊沢騎手も以前から『飛越が上手。これからが楽しみ』と期待していましたよ」(同)

 2016年には「長年に亘る平地・障害双方での活躍」が評価され、JRAの特別賞にも輝いた熊沢騎手。ちなみに騎手で特別賞を受賞したのは、南井克巳(現調教師)と武豊騎手、そして熊沢騎手の3名しかいない。

 かつて有馬記念(G1)を単勝137.9倍だったダイユウサクで優勝して以来、穴馬に乗るたびに競馬ファンから「クマ出没注意!」と愛されてきた。今は障害レースの騎乗が中心だが、障害のビッグレースが行われるこの季節と年末には“熊”の出没には注意が必要だ。

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