
JRA エフフォーリアが見せた「三冠」級パフォーマンスは超サイヤ人!? 皐月賞(G1)ナリタブライアン、オルフェーヴルとの共通点とは

先週、中山競馬場で開催された皐月賞(G1)は、横山武史騎手の2番人気エフフォーリア(牡3、美浦・鹿戸雄一厩舎)が、2着タイトルホルダーに3馬身の差をつけて圧勝。桜花賞(G1)を制したソダシに続き、デビューから無傷でクラシックを制した。
多くの名馬の背中を知るC.ルメール騎手が、ライバルを「ダービー馬」と羨んだもの納得のワンサイドゲームで皐月賞馬の栄冠を手にしたエフフォーリア。同馬を生産したノーザンファームの吉田勝己代表も「びっくりしたよ。3馬身差は強かった。ダービーでも大丈夫でしょう」と、無敗二冠に早くも当確ムードすらある。
そして、おそらく問題ないのではと感じられるだけの走りをエフフォーリアも披露しているのは間違いない。共同通信杯(G3)を圧勝したが、スローペースで上がりだけの展開。戦前の評価は4番人気の伏兵扱いに過ぎなかった。
前走で破ったライバルがトライアルで好走し、徐々に強さが「表面化」しつつあったとはいえ、今回はG1の舞台。これまで多頭数の競馬が未経験だったことに加え、小回りでコース適性が求められる中山コースも不安視された。さらに、手綱を執るのもまだ若く経験の浅い横山武騎手ということもあり、1番人気は好調の目立つ川田将雅騎手のダノンザキッドに譲った。
しかし、これらは重箱の隅をつつくような難癖に過ぎなかったと痛感させられる皐月賞での圧倒的なパフォーマンス。共同通信杯は東京開催で、当時の馬場は軽く時計の出る状態でもあった。切れ勝負に懸念のあるエピファネイア産駒のエフフォーリアが難なく対応するどころか、その前の百日草特別を軽く上回る内容でライバルを一蹴している。
また、デビューからレースを重ねるほど、2着馬との差を広げていることからも同馬の怪物的な能力を垣間見ることができる。
エフフォーリアは昨年8月の札幌でデビュー勝ちしたが、このときは2着に0.1秒差、2戦目の百日草特別では0.2秒差とここまではそう珍しくはない。だが、初重賞となった3戦目の共同通信杯で0.4秒と広げ、最も強いメンバーが相手の皐月賞で0.5秒とさらに広げたのである。
戦えば戦うほど強さを増す姿は某アニメの超サイヤ人にすら思えてくるのだが、驚くべきは皐月賞のタイム差だ。能力差が顕著に表れやすいといわれる東京コースのダービーは、2着馬との差もつきやすい傾向にあるが、中山コースの皐月賞はそれに比べると接戦になりやすい。
そんな皐月賞を0.6秒差で圧勝したのは1994年のナリタブライアン。0.5秒差の2位は11年のオルフェーヴルだが、このときは東日本大震災の影響で中山ではなく東京での開催。0.4秒差の3位は87年サクラスターオー、92年ミホノブルボン05年ディープインパクト、08年キャプテントゥーレ、12年ゴールドシップの5頭だ。※1986年以降、JRAのみのデータ。
これら過去の名馬と比較すると0.5秒差のエフフォーリアには二冠にとどまらず、すでに三冠級と考えても不自然ではないのかもしれない。
ゴール前ではまだ手応えに余裕もあっただけに、不安より期待の方が大きい日本ダービー(G1)で、どのような走りを披露してくれるのか注目したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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