JRA武豊ディープモンスター&ヨーホーレイク「ダート挑戦」に騒然!? 昨年末OPに62頭が登録……降級制度の廃止から3年。見えてきた「歪み」とは
8日に行われるすばるS(L)が、ちょっとした話題になっている。
現時点での特別登録馬が37頭と、ダートの短距離戦らしい盛況ぶりだが、ファンの目を引いたのが、ディープモンスター(牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎)やヨーホーレイク(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)といった昨年のクラシックを賑わせた馬の名があることだ。
ディープモンスターの前走は武豊騎手で菊花賞(G1)5着、ヨーホーレイクの前走が川田将雅騎手で日本ダービー(G1)7着。共にクラシックの厚い壁に跳ね返された2頭だが、仕切り直しとなる明け4歳の初戦で、いきなりの“ダート挑戦”を意外に思ったファンも少なくないようだ。ましてや、すばるSは1400mの短距離戦である。
無論、この2頭はいわゆる「権利獲り」を狙っての登録だ。「権利獲り」とは、簡単に言えば1度抽選に漏れて除外を受けた馬が、そこから2か月以内であれば優先的に出走できる制度を利用したものだ。
つまり、ディープモンスターもヨーホーレイクの陣営も、すばるSについては出走することではなく、除外されることが目的。37頭の登録は、むしろ「ありがたい」というクチである。本当の狙いは除外を受けてからのレースであり、本命は他にあるということだ。
「この2頭に限った話ではなく、こういった除外狙いの権利獲りは、今や各陣営の常套手段になっています。もちろん、誤って抽選に受かってしまう可能性もあるので同時に複数のレースに登録する例も珍しくありません。
実際にディープモンスターは、すばるSと同じ日に中山で行われるニューイヤーS(L)にも登録。一見、優柔不断な登録にも見えますが、これもより確実に除外を受けるためです。ちなみに昨年末のりんくうS(OP)には、合計62頭の登録があってびっくりしました」(競馬記者)
記者の話に出たりんくうSは先月26日に行われたが、最終的に出走したのは16頭だった。つまり、このレースだけで約40頭ほどの“権利持ち”が発生したことになる。
そういう制度なのだから仕方がないといえばそれまでだが、出走馬が固まるのは木曜日。それまでに予想を開始したいファンにとっては、出るか出ないかもわからない大量の馬を相手に格闘しなければならず……。
それは同時に、平日における競馬への無関心が増大するリスクを孕んでいると言えなくもない。
「こういった“大量登録”は一昔前まで下級条件によく見られましたが、最近では3勝クラスやOPの方が、より顕著に感じられます。
背景にあるのは降級制度が廃止されたことでしょうね。クラス落ちがなくなったことで3勝クラスやOP馬の数が増えましたが、一方で3勝クラスやOPレースの数はそう変わってはいません。その結果、今では賞金が心許ないOP馬は出走することさえ一苦労な状況になってしまっています」(同)
実際に、ディープモンスターはすみれS(L)勝ち、ヨーホーレイクはきさらぎ賞(G3)2着の賞金でOPクラスに在籍しているが、賞金面では心許ない存在である。
ただ、その一方で2頭が主戦場にしてきた「芝・中距離」のOPレースは、29日の白富士S(L、芝2000m)、もしくは2月6日の関門橋S(OP、芝2000m)くらいしか見当たらないのが現状だ。ある調教師は「もっと3勝クラス、OPの番組をもう少し増やさないと」と警鐘を鳴らしている。
これまでも競走馬の出走形態改善ため、時代に則った様々な改革を実施してきたJRA。中でも2019年の降級制度の廃止は歴史的にも大きな一手だったといえるが、また新たな改革が必要になってきているのかもしれない。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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