
JRA「強行軍?」マテンロウレオの弥生賞(G2)出走に賛否。「21世紀の出走ゼロ」スペシャルウィーク、ナリタトップロードが歩んだ黄金ローテに意外な死角

6日に中山競馬場で行われる弥生賞ディープインパクト記念(G2)には、例年以上の好メンバーがそろったと言えるのではないだろうか。
武豊騎手に初の朝日杯フューチュリティS(G1)をプレゼントしたドウデュースを筆頭に、きさらぎ賞(G3)を勝ったマテンロウレオ、京都2歳S(G3)の覇者ジャスティンロック、京成杯(G3)2着のロジハービン、若駒S(L)を勝ったリューベック、ジュニアC(L)を勝ったインダストリアと、登録12頭中すでにオープンクラスで賞金を加算した馬が6頭もいる。
本来、この6頭は賞金的にここで皐月賞の優先出走権を獲得しなくとも、本番に出走できる可能性は高い。中でもマテンロウレオ(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)の登録には、ファンの間でも様々な反応があるようだ。
先月6日のきさらぎ賞(G3)を快勝したマテンロウレオ。これで収得賞金が2400万円となり、皐月賞どころか日本ダービー(G1)や菊花賞(G1)でもほぼ安全圏といえる存在だ。
そんな有力馬が中3週で再び前哨戦に出走するだけに、SNSや掲示板では「盛り上げてくれる」という好意的な意見もある一方「本番に響かなきゃいいけど」「強行軍」「出る意味あるの?」といった弥生賞への出走自体に疑問を持つ声も……。
中には「皐月賞には行かないのかな?」という意見もあったほどだ。
■最有力イクイノックスは、昨年11月の東京スポーツ杯2歳Sからの直行
「寺田千代乃オーナーの所有馬には、同じ昆厩舎でシンザン記念(G3)を勝ったマテンロウオリオンもいますが、昆調教師が『レオはクラシック、オリオンは短いところ』と使い分けを示唆していることから、マテンロウレオは皐月賞が最初の目標でしょう。
確かに2019年のサートゥルナーリア、2020年のコントレイルと前年12月のホープフルS(G1)直行組が皐月賞を勝っているように、近年のクラシックは賞金を確保できた馬は本番直行がセオリー。だから今回のマテンロウレオの弥生賞出走に対して、ファンがそういった反応をするのも普通だと思います」(競馬記者)
実際に2000年以降、きさらぎ賞(G3)を勝って弥生賞に向かった馬は1頭もいない。大半が皐月賞へ直行しており、中にはNHKマイルC(G1)という例もある。
ちなみに今春の皐月賞の大本命馬と目されているイクイノックスは、昨年11月の東京スポーツ杯2歳S(G2)からの直行が話題を呼んでいる。それだけに今回のマテンロウレオの動向が“奇異”に見られても仕方がないというわけだ。
「近年は特にトライアルや前哨戦を挟まずにクラシック本番直行が目立ってますが、もともとはノーザン系ホースクラブが、多くの一口オーナーへ利益を分配するために行った、いわゆる“使い分け”が起源と言われています。
その一方で、昆厩舎に馬を預けている多くは個人馬主。様々なレースを使うパイオニアとして知られる森秀行調教師同様、昆調教師も個人馬主との付き合いを大事にされる方で、自厩舎を信頼してくれる馬主さんに、できるだけたくさんの勝利と賞金を届けたいと考えられた結果だと思います。
それに今でこそ直行がトレンドですが、90年代は普通にきさらぎ賞→弥生賞という流れも普通にあったんですけどね……(笑)」(同)
記者が話す通り、90年代ではスペシャルウィークやナリタトップロードといったところが、きさらぎ賞→弥生賞というローテを採用して見事に2連勝。そう考えるとマテンロウレオ陣営の判断も、あながち“強行軍”ではないということになる。
ただし、スペシャルウィークもナリタトップロードも後にクラシックを制した名馬だが、いずれも皐月賞では人気より下の着順に敗れている。果たしてマテンロウレオは“歴史の壁”を突き破ることができるだろうか。弥生賞だけでなく、皐月賞の結果まで注目したい存在だ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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