JRA待望復帰ヴェルトライゼンデに「なぜD.レーンなのか」の声も……三冠コンビ・池添謙一が「降板」の謎
4日、中京競馬場の芝2000mを舞台に争われる鳴尾記念(G3)で、ヴェルトライゼンデ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)が約1年4ヶ月ぶりにカムバックを果たす。
ドリームジャーニー産駒で兄弟にG1・2勝のワールドプレミアもいる本馬は、2019年9月にデビュー。新馬から萩S(L)の連勝を飾ると、暮れのホープフルS(G1)では後に無敗の三冠馬となるコントレイルの2着に食い下がった。
年明け初戦のスプリングS(G2)で、父の主戦も務めた池添謙一騎手と新コンビを結成。日本ダービー(G1)3着、菊花賞(G1)でも2番人気に推されるなど、三冠レースに皆勤してクラシック戦線を大いに盛り上げた。
昨年1月のAJCC(G2)でも僅差の2着に入ったものの、後に屈腱炎を発症。1年以上の長期休養を余儀なくされたが、いよいよ待望の実戦復帰となる。
帰厩後は豊富に乗り込みを行っており、最終追い切りは坂路で併せ馬を消化。陣営は『東京スポーツ』の取材に「長期休養明けとは思えない動き。息もできてきているし、故障明けでも不安は感じさせない」と話すなど、トーンは高い。
池江厩舎は先週、ボッケリーニで目黒記念(G2)を優勝。今年ここまで28勝を挙げて調教師リーディングのトップに立っており、また鳴尾記念は過去10年で5勝している相性抜群のレースでもある。
今回、ヴェルトライゼンデは短期免許で来日中のD.レーン騎手と新コンビを予定。『netkeiba.com』の単勝予想オッズでも1番人気に支持されているだけに、いきなりの大駆けも期待できそうだ。
三冠コンビ・池添謙一が「降板」の謎
だが一方で、SNSやネットの掲示板などでは「なぜレーン騎手なのか」「池添騎手の方がよかった」といった声も上がっているようだ。
先述の通り、スプリングSから6戦連続で手綱を取り続けた池添騎手は、勝利こそなかったものの重賞で2着3回。持ち前の勝負強さでライバルたちと接戦を繰り広げてきた。
一昨年の神戸新聞杯(G2)では父ドリームジャーニーを彷彿とさせる脚でコントレイルの2着に入り、「さすが池添」「本番では逆転もあるんじゃないか」といった称賛の声も見られた。
一方、レーン騎手は今回の来日でまだ重賞勝利がなく、それほど目立った活躍が見られているわけでもない。そのため、今回の乗り替わりにはいまいち納得できていないファンも多いようだ。
「強いて挙げるとすれば、池添騎手と池江厩舎がやや疎遠になりつつある点でしょうか。実はヴェルトライゼンデが故障してから1年4ヶ月の間、両者のコンビはフォースクエアの新馬戦ときさらぎ賞(G3)のわずか2戦しかありません。
かつてはオルフェーヴルで三冠も達成した黄金コンビでしたが、近年では騎乗依頼が激減していることも、ヴェルトライゼンデの降板と無関係ではないかもしれませんね」(競馬誌ライター)
池添騎手と池江厩舎がオルフェーヴルで三冠を制したのも、もはや10年以上前の話だ。コンビでの重賞勝利も、2013年の有馬記念(G1)から実に9年近く遠ざかっている。
また、近年の池江厩舎が主戦を荻野極騎手や岩田望来騎手などの若手ジョッキーにシフトし始めている。
とはいえ、レーン騎手はスポット参戦でもあるだけに、帰国後は再び池添騎手とタッグを組む可能性もあるだろう。まずはヴェルトライゼンデが久々の復帰戦を無事に走り終えてくれることを願いたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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